過敏性肺炎のCTパターン

①非繊維性過敏性肺炎

・Typical HP(HPを示唆するHTCT所見)
前提は肺野病変+細気管支病変
肺野病変;すりガラス陰影、モザイクパターン
細気管支病変;境界不明瞭な小葉中心性粒状影、呼気CTでのair trapping
分布;頭尾方向にびまん性で肺底部がスペアされる(保たれる、病変が乏しい)ことがある。水平方向にもびまん性。

・Compatible with HP(Typicalに該当しないがHPにおいて報告されている非線維化性HRCT所見)
前提は肺野病変のみ
肺野病変;均質で軽微なすりガラス影、コンソリデーション、薄壁嚢胞散在
分布;頭尾方向にびまん性だが下肺野優位の場合もあり。水平方向にもびまん性だが気管支血管束優位の場合もあり

注意点として2021年のCHESTのガイドラインでは分布の違いは考慮されておらず、分布が非典型的でも疾患否定はできません。

②繊維性過敏性肺炎

・Typical HP(HPを示唆するHTCT所見)
前提は構造改変を伴う線維化所見(不整な線上影や網状影)+細気管支病変
線維化所見;分布はランダム、中肺野優位、比較的肺底部がスペアされる。蜂巣肺や牽引性気管支拡張もある場合があるが主体ではない。
細気管支病変;境界不明瞭な小葉中心性粒状影やすりガラス影、モザイクパターン、three density patternあるいはair trapping

・Compatible with HP(Typicalに該当しないが細気管支病変を併存するもの)
Typicalとは異なる肺の線維化病変;UIPパターン、広範なすりガラス影と軽度の線維化病変。
分布;水平方向に中枢や気管支血管束周囲、胸膜下優位、頭尾方向に上肺野優位
細気管支病変;境界不明瞭な小葉中心性粒状影やすりガラス影、モイクパターン、three density patternあるいはair trapping

・Indeterminate for HP(TypicalにもCompatibleにも該当しない線維化病変)
前提は肺の線維化病変単独
UIPパターン、NSIP+OPパターン、Truly indeterminate HRCTパターン。

肺野と細気管支病変を認めたら過敏性肺炎を疑うことが重要です。過敏性肺炎は思っている以上によくみかけます。CTを撮影し異常陰影があったら常に頭に入れておきたい疾患です。

参考文献
日本呼吸器学会 過敏性肺炎診療指針2022作成委員会編;過敏性肺炎診療指針2022

グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症

グルココルチコイドは様々な疾患で使用されるが、骨粗鬆症への影響は無視できません。
生体内ではプレドニゾロン(PSL)換算で2-2.5mgのコルチゾールが産生されるため、少しのPSL内服でも生体にとっては影響が大きいとされています。
どれくらいかというと、PSL1mg/日の投与でも骨粗鬆症のリスクは増大するほどです。
グルココルチコイド誘発性って長い名前だなと思っていましたが、ステロイドには骨粗鬆症のリスクにはならないエストロゲンやアンドロゲンなども含まれてしまうからステロイド誘発性ではなくグルココルチコイド誘発性と言っているらしいです。

グルココルチコイドを使用する場合の骨粗鬆症予防の治療を開始する基準は3か月以上薬を継続するか、18歳以上かどうかです。18歳以上で3か月以上使用しているか今後使用する場合は、リスク因子を点数化して3点以上であれば治療を開始します。3点未満であれば定期的な経過観察で定期的なスコアの見直しが必要です。治療は一般的な骨粗鬆症とほぼ同様でビスホスホネート製剤や抗RANKL抗体、SERM、活性化ビタミンD、PTH受容体作動薬を用います。リスク因子は下記です。

既存骨折          なし0点、あり7点
年齢            50歳未満0点、50-65未満 2点、65歳以上4点
PSL換算(/日)での投与量  5mg未満0点、5-7.5mg未満1点、7.5mg以上4点
骨密度(%YAM)       80以上0点、70~80未満2点、70未満4点

グルココルチコイドはサルコペニア、心血管障害、脳血管障害のリスクともなるため注意が必要な薬剤ですが、日常診療では必須の薬でよく使用されます。
常に最小限の容量を意識して診療が必要です。

参考文献
日本骨代謝学会 グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症の管理と治療のガイドライン作成委員会編:グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症の管理と治療のガイドライン2023.南山堂.



急性腎障害(AKI)の原因疾患

①腎前性
体液量・有効循環血漿量の減少;下痢や嘔吐、出血、急性膵炎、肝硬変、ネフローゼ症候群、利尿薬、尿崩症など
心拍出量減少;心不全、不整脈、肺塞栓症
末梢血管の拡張;敗血症、アナフィラキシーショック、降圧薬
腎動脈閉塞・狭窄;大動脈解離、腎動脈血栓
腎血管の収縮;肝腎症候群、NSAIDs、シクロスポリン、タクロリムス
輸出動脈の拡張;ACE阻害薬、ARB

②腎性
血管障害;結節性多発動脈炎、強皮症、悪性高血圧、溶血性尿毒症性症候群、血栓性血小板減少性紫斑症、抗リン脂質抗体症候群、コレステロール塞栓症
糸球体障害;急速進行性糸球体腎炎、急性糸球体腎炎
急性間質性腎炎;薬剤アレルギー、急性腎盂腎炎
急性尿細管障害;腎前性の長期持続、アミノグリコシド、ヨード造影剤、横紋筋融解症、溶血、蛋白性尿細管閉塞、血漿性尿細管閉塞

AKIの精査で腎臓癌を経験したこともあるためそれも鑑別に入ると思います。

③腎後性
後腹膜線維症、悪性腫瘍、前立腺肥大症、前立腺がん、神経因性膀胱、尿胃管結石、尿肝腫瘍

参考文献
AKI治療の実際.阿部雅紀編.日本医事新報社

骨形成促進薬

①副甲状腺ホルモン製剤
テリパラチド(フォルテオ®、テリボン®)
:週1回 56.5μg 皮下注
または;1日1回 20μg 皮下注
テリパラチドの投与期間は24カ月

②副甲状腺ホルモン関連蛋白製剤
アバロパラチド(オスタバロ®);1日1回 80μg 皮下注
アバロパラチドの投与期間は18カ月

③ロモソズマブ(イベニティ®)
月1回 210mg 皮下注
ロモソズマブの投与期間は12か月

使用には最新の添付文書の確認が必要です。

骨吸収抑制薬

①SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)
ラロキシフェン(エビスタ®);1日1回 60mg1T分1 経口投与
バゼドキシフェン(ビビアント®);1日1回 20mg1T分1 経口投与 胆汁排泄のため腎障害でも使用可能

SERMは深部静脈血栓症、肺塞栓症、網膜静脈血栓症の既往がある場合禁忌。
DVTリスクのため長期不動状態でも禁忌。

②ビスホスホネート製剤
アレンドロン酸(ボナロン®、フォサマック®)
;1日1回 5mg 1T分1 経口投与
または;週1回 35mg 1T分1(ゼリー製剤あり)
または;点滴静注 4週毎 1回 900mg

リセドロン酸(ベネット®、アクトネル®)
;1日1回 2.5mg 1T分1 経口投与
または;週1回 17.5mg 1T分1 経口投与
または;月1回 75mg 1T分1 経口投与

ミノドロン酸(リカルボン®、ボノテオ®)
;1日1回 1mg 1T分1 経口投与
または;4週毎 50mg 1T分1 経口投与

イバンドロン酸(ボンビバ®)
;月1回 100mg 1T分1 経口投与
または;点滴静注 月1回  1mg

ゾレドロン酸(リクラスト®);点滴静注 年1回 5mg

エチドロン酸(ダイドロネル®);1日1回 200mgを2週間経口投与しその後10-12週の休薬を行う。

ビスホスホネート製剤投与後はインフルエンザ様の症状がでる急性期反応を来すことがあるが対症療法で良く再発は少ない。
内服薬は起床時(空腹時)水約180mLとともに内服。内服後は30分は横にならず水以外の飲食や内服は避ける(イバンドロン酸は60分)。
薬剤関連顎骨壊死、非定型大腿骨骨折が副作用として重要。

③抗RANKL抗体
デノスマブ(プラリア®);皮下注射 6カ月毎60mg
低Ca血症に注意が必要で投与1週間後とそれ以降は数か月に1度は血液検査を確認する。
薬剤関連顎骨壊死、非定型大腿骨骨折が副作用として重要。

必ず最新の添付文書を確認して使用が必要です。

続発性骨粗鬆症の原因疾患

①内分泌性

・副甲状腺機能亢進症
・クッシング症候群
・甲状腺機能亢進症
・性腺機能不全
・原発性アルドステロン症
・低Na血症

②栄養性
・胃切除後
・神経性やせ症
・吸収不良症候群
・ビタミンC欠乏症
・ビタミンA過剰症
・ビタミンD過剰症

③薬剤性
・グルココルチコイド
・抗痙攣薬
・ワルファリン
・性ホルモン低下療法
・SSRI
・メトトレキサート
・チアゾリジン系
・ヘパリン

④不動性
・全身性(安静、宇宙旅行、廃用症候群)
・局所性(骨折後)

⑤先天性
・骨形成不全症
・マルファン症候群
・エーラスダンロス症候群
・ロイス・ディーツ症候群

⑥その他
・関節リウマチ
・アルコール依存症
・慢性腎臓病
・COPD
・肝疾患
・・糖尿病(1型、2型)

参考文献

骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版.骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会編.
Medical Practice vol41 no7 2024:1017-1022.

Addison病

副腎皮質機能低下症とは、副腎皮質ホルモンが低下した病態のことです。原発性、続発性、医原性に分類されます。原発性は副腎そのものに病変がある場合で、視床下部や下垂体に病変がある場合は続発性です。原発性には先天性である先天性副腎皮質過形成やACTH不応症があり、後天性には自己免疫性や結核、AIDSなどの感染性のものなどがあります。この原発性で後天性のものを発見者の名にちなんでAddison病と言います。ここら辺の概念は国家試験で勉強して以来であり、学生時代はあまり成績も良くなかったので改めて勉強してみるとスッキリ理解できました。学生時代は希少疾患は苦手で、勉強意欲もあまりなかったですが、実際の臨床では希少疾患もよく目すると実感します。

Addison病はコルチゾール、アルドステロン、アンドロゲンの欠乏をきたします。自己免疫性はMEN1型やMEN2型で発症しますが、孤発性も認めます。ACTH増加のため色素沈着を認めることがあります。色素沈着はひたすら画像を見て覚えるしかなさそうです。

診断は早朝ACTHとコルチゾールを測定します。

コルチゾールのカットオフ値は、

  • 4μg/dL未満で副腎不全の可能性が高い
  • 4-18μg/dLで副腎不全を否定できない
  • 18μg/dL以上で副腎不全を否定できる

とされています。迅速ACTH負荷試験を行いそれで18μg未満ならCRH負荷試験をさらに行い、診断を勧めていきます、負荷試験は以前私が勤務していた病院では医師が採血するという決まりがありました。大きな病院での謎ルールは医療の妨げになっているとつくづく思いましたが、医師が余っている病院ならではでしょうか。別の医師不足の地域で勤務した際は他職種の協力が得られやすく、自分にはそっちの方があっていたなと今では思います。

ACTHは高値ならAddison病をより疑い、低値なら続発性を疑います。

治療はヒドロコルチゾンを用います。これはヒドロコルチゾンが生理的なものに近いためです。Addison病では生涯内服を継続する必要があり、中断しないことが重要です。診断された患者さんを引き継いでみるときは、薬を中断しないこととシックデイの時に通常量の2-3倍の内服が必要ということを忘れないように注意が必要そうです。

参考文献)

日本内分泌学会;内分泌代謝科専門医研修ガイドブック.

成人GH分泌不全症

成人GH分泌不全症はGH分泌低下により肥満や脂質異常症、情緒不安やスタミナ低下などの症状をきたすとされています。小児期発症し持続している場合と成人発症の場合があります。GH分泌不全症は小児の疾患のイメージがありましたが、成人もあるんですね。

原因疾患では下垂体腺腫が最多で、特発性や下垂体炎、Sheehan症候群などがあります。年間1200人程度の発症があるとされています。相当少ないですね。

検査所見では脂質異常症や耐糖能異常、非アルコール性脂肪性肝疾患などが指摘されます。脂肪性肝疾患は肥満が多いですが、肥満でなくても認めることがあります。薬剤や低栄養という訳ではなく、原因なんだろうなと思いながら外来でフォローしている患者さんは時折おりますが、そういう場合はGHを一度調べてみても良いと思いました。

GHは脈動的分泌されるホルモンであるため、基礎値のみでの判断ができずGH分泌刺激試験が必要となります。GH分泌刺激試験にはいくつか種類があります。

  • インスリン低血糖刺激試験
  • アルギニン負荷試験
  • グルカゴン負荷試験
  • 成長ホルモン放出ペプチド-2試験

IGF-Iは日内変動が少なくGH分泌の指標としてい用いられますが、低下がなくても疾患を否定はできません。

つまり本疾患を診断するには分泌刺激試験を行わなければならず、その前の段階では身体所見や病歴で疑わないといけません。分泌刺激試験を実施できる施設は限られており、病歴のみで疑って紹介は結構ハードル高い気がします。

診断の手引きを見ながら、初診で来院されたらどうやって疑ったらいいか考えてみました。鬱病と言われたけど治らない、疲れやすくなって他院で検査調べたけど何もないと言われた、などの今までいくつか病院を受診した状態なら少しは疑うかもしれません。初診でいきなり来たら、診断は難しい気がします。1発で診断してみたいですね。

参考文献)

1)Abs R,et al.Clinical Endocrinology 1999.

副腎クリーゼ(急性副腎不全)

本日は副腎クリーゼについて勉強します。

副腎クリーゼはグルココルチコイドの急激な欠乏によって生じる病態とされています。

絶対的な欠乏だけでなく、相対的な欠乏でも生じます。

慢性副腎不全の患者さんに感染や手術などのストレスが加わった場合やステロイド長期内服中の患者さんの急なステロイド減量や中止で生じます。心理的ストレスでも生じることがあるみたいです。ストレスは様々な疾患に関係していますが、実際の診察ではストレスだと思っても患者さんに否定されることも多く、難しいですね。

この感染症とは胃腸炎が最も多いとされています。胃腸炎の患者さんは多いですが、その中に副腎不全が紛れていると考えると怖いですね。ただよっぽどなことがない限り胃腸症状で未診断の副腎不全を疑うのは難しい気がします。症状は脱水や低血糖、嘔気・嘔吐、下痢、腹痛、食欲低下、体重減少、低血圧、意識障害などがあります。血液検査では低Na血症、高K血症、高Ca血症、貧血、好酸球増多などを認めることがあります。好酸球増多や低Na血症は有名ですが、貧血も起きるんですね。。。その他発熱、筋肉痛、関節痛も来すことがあるようですが、特異的な症状はほぼなさそうです。普段の外来では低Na血症単独あるいは低K血症単独であることはよく見かけますが、両方そろってることはあまりないなあと記載していて思いました。高齢な患者さんで入院している状況であれば見かける数値かもしれませんが、両方そろったときは副腎不全を忘れないようにしたいですね。

また、ステロイドの減量中に時折嘔気や倦怠感を訴える患者さんはおりますがそういった際もステロイドをもとの量に戻すと改善することは時折経験します。外来だとそういった症状があっても次の予約までまつ患者さんもいますし、それで悪化するということもないのでそういった場合はクリーゼではないと思います。ただそういった状態で胃腸炎などにかかったらまずいかも知れません。

診断はACTHとコルチゾールを検査し、状態が悪い時にコルチゾールが5μg/dL未満であれば強く疑いますが、明確な基準値は設定されておりません。なのでコルチゾールのみで診断するのではなく、その他の症状の合致具合と他疾患否定が重要そうです。

実際の臨床では疑った時点でヒドロコルチゾンを投与する必要があります。

慢性副腎不全がすでに診断されている患者さんはシックデイなどの状況では普段の内服量の1.5-3倍程度を内服する必要があります。

参考文献)

内分泌代謝科専門医研修ガイドブック.日本内分泌学会.