セフェム系(経口)

①セファレキシン(ケフレックス®)
バイオアベイラビリティは約90%。
MSSAや連鎖球菌に感受性が良好。

②セファクロル(ケフラール®)
バイオアベイラビリティは約90%。
H.influenzaeやM.catarrhalisに感受性がある。

③セフポドキシムプロキセチル(バナン®)
バイオアベイラビリティは約50%。
食事とともに摂取で生体利用率上昇。

薬剤Ccr>50mL/分Ccr10-50mL/分Ccr<10mL/分
セファレキシン1回500mg 6時間毎1回500mg 12時間毎1回250mg 12時間毎
セファクロル1回500mg 8時間毎1回500mg 8時間毎1回500mg 12時間毎
セフポドキシムプロキセチル1回200-400mg 12時間毎1回200-400mg 24時間毎1回200mg 24時間毎

参考文献
上原由紀編:微生物×薬剤クロスカンファレンス.日本医事新報社.

使用には最新の添付文書の確認が必要です。

ニューキノロン系

共通事項として鉄剤、Mg系便秘薬などで吸収力大きく低下は注意。
痙攣、大動脈瘤・解離、頭痛、アキレス腱障害、QT延長にも注意。

①レボフロキサシン
バイオアベイラビリティは約80%。

②シプロフロキサシン

③モキシフロキサシン
肝代謝。
尿路系への排泄がなく尿路感染症には効果ない。
低血糖に注意。

使用には最新の添付文書の確認が必要です。

リポ蛋白(a)【Lp(a)】

Lp(a)はアポリポ蛋白Bにアポリポ蛋白(a)が結合したリポ蛋白。
遺伝的に濃度が決定しており、50mg/dL以上を高値とする。
スタチンでは低下しないがPCSK9阻害薬では低下する。

参考文献
吉田博.Medical Practice vol.43 no7 2026.文光堂.

高トリグリセリド(TG)血症

高TG血症はTGが空腹時150mg/dL以上、随時採血で175mg/dL以上の場合に診断できます。
TG150-500mg/dLの間はVLDLの増加が目立ち動脈硬化性疾患のリスクとなります。
TG500mg/dL以上ではカイロミクロン(CM)の増加が目立ち急性膵炎発症のリスクとなります。TGが1000mg/dLを超える場合は原発性高カイロミクロン血症などの続発性を考慮する必要があります。

高TG血症は過食や飲酒、運動不足、肥満、糖尿病、ネフローゼ症候群や慢性腎臓病、SLEなど原因は多岐に渡ります。
①原発性
家族性Ⅲ型高脂血症
家族性複合型高脂血症
家族性Ⅳ型高脂血症
原発性高CM血症
LPL欠損症
アポ蛋白C-Ⅱ欠損症
原発性Ⅴ型高脂血症 など

②続発性
生活習慣(運動不足、過食、飲酒)
肥満
糖尿病
ネフローゼ症候群
慢性腎臓病
甲状腺機能低下症
クッシング症候群
褐色細胞腫
先端巨大症
全身性エリテマトーデス
薬剤(ステロイド、エストロゲン、経口避妊薬、β遮断薬、サイアザイド系利尿薬、陰イオン交換樹脂、シクロスポリン、抗精神病薬など)

参考文献
高橋学.Medical Practice vol43 no7.2026.文光堂.

PCSK9阻害薬

エボクロマブ(レパーサ®)
スタチン治療に追加することでLDLを大きく低下させ心血管イベントの抑制効果がある。
用量によって2週間に1回皮下投与あるいは4週間に1回の皮下投与を行います。


インクリシラン(レクビオ®)
初回に皮下投与し、その後は3か月後に再度皮下投与、その後は半年毎に皮下投与で良いため投与回数が少ないのがメリット。

原発性脂質異常症

原発性脂質異常症には原発性高脂血症と原発性低脂血症、その他があります。
①原発性高脂血症
原発性高カイロミクロン血症
原発性高コレステロール血症
家族性Ⅲ型高脂血症
原発性高トリグリセライド血症
原発性高HDLコレステロール血症
があります。原発性高コレステロール血症や家族性複合型高脂血症はこの中の原発性高コレステロール血症に分類されるように、さらに細かく分類されます。

②原発性低脂血症
無βリポタンパク血症
家族性低βリポタンパク血症
家族性低HDLコレステロール血症
があります。これも、例えばタンジール病、レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ欠損症、アポ蛋白A-Ⅰ欠損症が家族性低HDLコレステロール血症に分類されるようにさらに細かく分類されています。

③その他
シトステロール血症
膿腱黄色腫症

臨床で脂質異常を専門としていない限りはここまで突き詰める必要は乏しいと思いますが、専門の先生はどこまで考慮しているのか気になります。

参考文献
動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版.日本動脈硬化学会.

成人家族性高コレステロール血症(FH)診断基準(15歳以上)

1,高コレステロール血症(未治療で180mg/dL以上)
2,腱黄色腫(手背、肘、膝またはアキレス腱肥厚)あるいは皮膚結節性黄色腫
3,FHまたは早発性冠動脈疾患の家族歴(第一度近親者:両親、子供、兄弟)
上記2項目以上でFHと診断するが続発性を除外する必要がある。
満たさなくてもLDLが250mg/dL以上であればFHを強く疑う。

アキレス腱肥厚のX線撮影による基準値;男性8.0mm以上、女性7.5mm以上
アキレス腱肥厚の超音波による基準値;男性6.0mm以上、女性5.5mm以上

早発性冠動脈とは;男性55歳未満、女性65歳未満で発症した冠動脈疾患

参考文献
日本動脈硬化学会編.成人家族性高コレステロール血症診療ガイドラインフォーカスアップデート2025.

脂質異常症の治療目標

脂質異常症の一時予防ではまず下記の3つの疾患があれば高リスクとなります。
①糖尿病
②慢性腎臓病
③末梢動脈疾患
無ければ久山町スコアを算出します。
①性別が女性は0点、男性は7点
②収縮期血圧
<120mmHg 0点
120-129mmHg 1点
130-139mmHg 2点
140-159mmHg 3点
160mmHg以上 4点
③糖代謝以上(糖尿病は含めず耐糖能異常があるかどうか)
なし 0点
あり 1点
④血清LDL
<120mg/dL 0点
120-139mg/dL 1点
140-159mg/dL 2点
160mg/dL以上 3点
⑤血清HDL
60mg/dL以上 0点
40-59mg/dL 1点
<40mg/dL 2点
⑥喫煙
なし(あるいは過去喫煙) 0点
あり(現喫煙) 2点

①~⑥のスコアの合計点を計算します。

40-49歳:12点以下は低リスク、13点以上は中リスク
50-59歳:7点以下は低リスク、8-18点は中リスク、19点以上は高リスク
60-69歳:1点以下は低リスク、2-12点は中リスク、13点以上は高リスク
70-79歳:7点以下は中リスク、8点以上は高リスク

低リスクの管理目標
LDL<160
non-HDL<190

中リスクの管理目標
LDL<140
non-HDL<170

高リスクの管理目標
LDL<120
non-HDL<150

トリグリセリド(TG)はリスクにかかわらず空腹時は150以下、随時は175以下が目標です。
TGは500mg/dL以上であれば急性膵炎の発症予防を目的として治療介入します。
私はそれ以下の場合でも正常範囲より高値であったら治療を開始するようにしています。

HDLは40以上が目標です。

久山町スコアは40歳以上で点数をつけています。以前30代の患者さんにスタチンを処方していたのですが、別の先生に受診した際に若年だからとの理由で内服中止となっていたことがありました。小児家族性高コレステロール血症でも薬物療法を行うこと、累積LDLの概念を考えると20代、30代でも開始しても良いように思いますが、どうなんでしょうね。

CKDの患者ではLDLコレステロール値に関わらずスタチン(±エゼチミブ)が推奨されていますが、保険適応には注意が必要です。CKD患者では採血は定期的に行われるため、一時的にでも脂質異常症を満たす数値がでればすぐ治療を開始する方が良いのかなと思います。

脂質異常症

脂質異常症はLDLやTG高値、HDL低値によって診断される疾患で脂質代謝を管理する目的は動脈硬化性疾患の予防です。家族性高コレステロール血症の患者は若年で冠動脈疾患を発症することがあり、生まれてからのLDLコレステロールの蓄積があればあるほど動脈硬化が進むと考えられています。そのため早期治療を行いLDLが高い期間を短く保つことが重要です。

診断基準
①LDLコレステロール
140mg/dL以上;高LDLコレステロール血症
②HDLコレステロール
40mg/dL未満;低HDLコレステロール血症
③トリグリセリド
150mg/dL以上(空腹時採血);高トリグリセリド血症
175mg/dL以上(随時採血);高トリグリセリド血症
④non-HDLコレステロール
170mg/dL以上;高non-HDLコレステロール血症

以前は空腹時の血液検査が必要でしたが、トリグリセリドに関して随時でのカットオフ値が示されたため空腹は必須ではなくなりました。LDLコレステロールやHDLコレステロールは食後の変動はわずかであるため、食事時間はあまり気にする必要はありません。食後にトリグリセリドは上昇しますが、これは食後高脂血症を示唆する所見です。この食後高脂血症も空腹時のトリグリセリド上昇と同程度に心血管イベントに関与するため、随時のトリグリセリド上昇も診断基準に組み込まれました。
HDLやLDLは低いのも問題で、HDLコレステロールが25mgidL未満であれば原発性低HDLコレステロール血症を、LDLコレステロールが15mg/dL未満であれば原発性低LDLコレステロール血症を考えます。

脂質異常症は原発性と続発性に分類されます。
原発性は家族性コレステロール血症や家族性複合型高脂血症があります。
続発性には糖尿病や脂肪性肝疾患、ネフローゼ症候群、甲状腺機能異常などがあります。

家族性コレステロール血症はかなり高頻度で、報告によっては12人に1人が家族性コレステロール血症とする報告もあります(多田紀夫,他.成人病と生活習慣病35:1187-1197,2005.)。ただし300人に1人とされている報告もあり、正確な数字の把握は困難です。

治療はリスク分類を行い、その分類に沿って脂質の管理目標の数値が設定されており、その目標値を目指して内服薬の調整を行い、栄養指導も並行して行います。

LDLは主に肝臓で合成される分が8割近くあるため食事制限をしても効果は限定的とされています。コレステロールをとらないように勧めるよりは脂質や糖質の摂取を制限してトリグリセリドの上昇を防ぐ方が理にかなっていると思います。

HDLコレステロールと動脈硬化性疾患による死亡はU字型の関係となっており、高すぎても動脈硬化性疾患と関連するという可能性も指摘されています。低HDLコレステロール血症の場合もHDLを上昇させても冠動脈疾患発症を抑制させることは示せておらず、扱いが難しいと感じています。

最近ではsmall dense LDLやアポリポタンパクB-100がLDLよりも動脈硬化性疾患予防のマーカーとして意義があるとの見方がでておりますが、保険診療ではsmall dense LDLは測定できません。人間ドックで測定されることはありますが、保険診療でのフォローはできず、トリグリセリドなどの数値を考慮しながら予測を立てて治療していく必要があります。ときおり人間ドックで異常を指摘されて受診されることがあり、対応をいつも考えます。
トリグリセリドが多くなるとLDLは低値でもsmall dense LDLが高値であることがあります。そのため、LDLが正常でもトリグリセリドが高値ならLDLをより一層下げた方が良い可能性があります。
リポタンパク(a)も最近は注目されており保険診療でも利用できますが、明確なエビデンスはまだ十分ではないため参考に使用します。 

診察で聴取すべき内容は続発性をきたす既往歴の有無、脂質異常症や心血管疾患の家族歴、角膜輪やアキレス腱肥厚などの身体所見は必須です。
血液検査も通常のLDL,HDL,TG,non-HDLのみではなく、一度はリポ蛋白分画やアポリポ蛋白、リポ蛋白(a)も採取した方がよさそうです。

高LDLコレステロール血症の治療にはスタチン、小腸コレステロールトランスポーター阻害薬、陰イオン交換樹脂、プロブコール、PCSK9阻害薬があります。
スタチンでコントロールが難しければスタチンにエゼチミブの併用あるいはスタチンにPCSK9阻害薬を考慮します。
高トリグリセリド血症の治療はフィブラート系、ω-3多価不飽和脂肪酸、ニコチン酸誘導体があります。

初診時や治療の経過中に頸動脈エコーや足関節上腕血圧比(ABI)などを用いて動脈硬化の評価も大切です。頸動脈エコーで狭小化が50%を超えた場合は造影検査や脳血流量の検査を行います。内膜中膜厚(IMT)が1.1mmを超えた場合は心血管イベント発症リスクが2倍となるためより一層慎重に治療を行う必要があります。ABIは0.9未満で下肢動脈疾患の可能性があり、1.4以上では高度な石灰化で血管がうまく圧迫できていない可能性を考慮し足趾上腕血圧比(TBI)も行います。
血管弾性指標とは血管機能を定量化したものです。この血管弾性指標を予測するには脈波伝播速度(PWV)や心臓足首血管指数(CAVI)を用います。PWVは波であるため動脈壁が固いほどPWVの値は増加します。CAVIは9を超えると心血管イベントのリスクが高いとされています。このCAVIは心室-動脈連関にも関連しており、心臓の求心性肥大やリモデリングの指標となることが指摘されているようです。

スタチンを含む脂質異常症の治療薬は胎児奇形のリスクがあり禁忌のため妊娠を希望する女性は注意が必要です。

また報告により異なりますが、75歳以上の後期高齢者でも一次予防としてスタチンを投与して心血管イベントの抑制効果はあるとの報告もあり、基本的には高齢者でも治療を行う方針で良いと思います。

参考文献
池崎裕昭著.脂質異常症の診かた,考えかた.中外医学社.
日本動脈硬化学会.動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版.
永山大二.Medical Practice vol.43 no.7 2026.文光堂.


脂質異常症の診かた、考えかた [ 池崎 裕昭 ]


新装改訂版 見直し!脂質異常症 [ 小倉正恒 ]


動脈硬化性疾患予防ガイドライン (2022年版)