肝炎ウイルス検査

★A型肝炎
IgM型HAV抗体;発症後1週間以内~6カ月まで陽性となるため肝炎急性期診断に用いる。
IgG型HAV抗体;既感染やワクチン接種による免疫を示す。
HAV-RNA;発症後2週間以内に陽性となる。採血や糞便から採取でき急性期診断に用いる。

★B型肝炎
HBs抗原;現在のHBV感染を示す。
HBs抗体;既感染かワクチン接種による免疫を示す。
HBc抗体;既感染を示す。
IgM型HBc抗体;感染初期に陽性、数か月で陰性になる
HBe抗原・HBe抗体;HBVの病期評価に用いる。
HBV-DNA;体内のウイルス量で20IU/mLを超えると治療適応。

★C型肝炎
HCV抗体;既感染を示す。
HCV-RNA定量;現感染を示す。

★D型肝炎
B型肝炎と重複感染するためB型肝炎マーカーの評価も必要。
HDV-RNA;現感染を示す。

★E型肝炎
IgA型HEV抗体;現感染を示す。
IgM型HEV抗体;現感染を示す。
IgG型HEV抗体;回復期か既感染を示す。
HEV-RNA;現感染を示す。血液か糞便で検査できる。

参考文献
須田剛生,他.医学の歩み Vol292 No 3 2025.234-236.

高血圧の簡易まとめ

★降圧目標
診察室血圧130/80mmHg未満
家庭血圧125/75mmHg未満

★生活習慣の改善目標
ナトリウム制限;食塩6g/日未満
カリウム(野菜、果物、乳製品など)、の積極的摂取、カルシウム・マグネシウム・食物繊維・不飽和脂肪酸の接種
適正体重の維持;BMI25未満
運動療法;経~中等度の強度の有酸素運動を毎日30分以上、低強度のレジスタンス運動
節酒;エタノール換算で男性20-30mL以下、女性10-20mL以下に制限
禁煙
その他;寒冷曝露の回避、適切な睡眠時間の確保、便秘の回避、ストレスの管理

★降圧薬の併用STEPにおけるグループ分類
グループG1a;長時間作用型ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬、ARB、ACE阻害薬
グループG1b;少量のサイアザイド系利尿薬、β遮断薬
グループG2;ARNI、MR拮抗薬
グループG3;α遮断薬、ヒドララジン、中枢性交感神経抑制薬

★主要降圧薬の積極適応と禁忌
①長時間作用型ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬
積極適応;脳血管障害、左室肥大、狭心症
禁忌;なし
重要な注意の下で使用可能な病態;なし

②ARB/ACE阻害薬
積極適応;脳血管障害、左室肥大、心筋梗塞後、HFrEF、タンパク尿/微量アルブミン尿を呈するCKD
禁忌;妊娠、ACE阻害薬のみ血管浮腫や特殊な膜を用いるアフェレーシスあるいは透析
重要な注意の下で使用可能な病態;腎動脈狭窄症、高カリウム血症

③サイアザイド系利尿薬
積極適応;脳血管障害、体液貯留
禁忌;ナトリウム・カリウムが明らかに減少している病態
重要な注意の下で使用可能な病態;痛風、耐糖能異常、妊娠

④β遮断薬
積極適応;狭心症、心筋梗塞後、HFrEF、大動脈解離、胸部大動脈瘤
禁忌;喘息(β1非選択性及びα・β遮断薬)、高度徐脈、未治療褐色細胞腫/パラガングリオーマ
重要な注意の下で使用可能な病態;喘息(β1選択性)、COPD(β1選択性)、耐糖能異常

★尿中ナトリウム/カリウム比
尿中Na/Kは2未満が指摘目標

参考文献
日本高血圧学会高血圧管理・治療ガイドライン委員会編.高血圧管理・治療ガイドライン2025.ライフサイエンス.

MRエラストグラフィー

エラストグラフィーとは組織の固さを評価する技術のことです。
MRIを用いるMRエラストグラフィー
超音波を用いる超音波エラストグラフィー
があります。

肝臓の線維化を肝生検なしに評価する際にMRエラストグラフィーを用いることがあります。
これは体表面に振動を発生させるパッドを張って、肝臓を揺らします。その振動をMRIで評価して肝臓の固さを測定します。この固さと肝線維化が相関するため、線維化の指標に用いられます。

γーGT

以前はγGTPでしたが、近年ではγ-GTあるいはGGTと用いるようになりました。
普段の血液検査でもよく検査される項目ですが、上昇を認めたときの鑑別疾患に関して記載します。

上昇する原因は下記です。
胆道系疾患(総胆管結石、原発性硬化性胆管炎、原発性胆汁性胆管炎、胆管癌)
肝癌
MASLD
アルコール(酵素誘導のため)
薬剤性
脂肪性肝疾患
ウイルス性肝炎

プロトロンビン時間

プロトロンビン時間(PT)は肝細胞の合成能を表しています。
肝臓は血液凝固因子の第Ⅱ、Ⅴ、Ⅶ、Ⅹ因子を産生しますが、このうち第Ⅶ因子は半減期が3時間程度と短いため、第7因子の活性低下でPTは延長します。
PTは使用する試薬によって測定値が異なるため、そのばらつきを少なくしたものがPT-INRです。

実際の臨床では肝疾患で用いることが多いです。
急性肝不全ではPTが40%以下あるいはPT-INR1.5以上を基準としています。
acute-on-chronic liver failure(ACLF)でも同様の数値を基準としています。

★PT延長の原因
低栄養
DOACやワルファリン内服
ビタミンK欠乏
肝障害
DIC

★ちなみによく一緒に用いられるAPTTの延長の原因
血友病A・B
von Willebrand病
第Ⅷ、Ⅸ、ⅩⅠ因子欠乏
ヘパリン投与

参考文献
MEDIC MEDIA.病気が見えるVol5 血液第3版.
中山伸郎.;医師薬出版株式会社医学のあゆみ Vol.292 N0.3 2025;223-227.

腎デナベーション

腎デナベーション(RDN)は高血圧に行うデバイス治療です。
2026年3月から保険適応となっています。
これはカテーテルを用いて腎動脈内腔から遠心性腎交感神経と求心性腎知覚神経を超音波を用いて焼灼してしまうという治療です。
遠心性腎交感神経の焼灼によりレニン分泌は抑制され、求心性腎知覚神経の焼灼により圧受容器の感度を改善し降圧作用が発揮されます。
治療抵抗性の高血圧に対する新しい選択肢です。

参考文献
日本高血圧学会高血圧管理・治療ガイドライン作成委員会編.高血圧管理・治療ガイドライン2025.ライフサイエンス;2025.

HFpEF

LVEF50%以上の心不全のことです。
診断は難しく、BNPはHFrEFと比較すると低値となります。BNPは左室拡張末期壁応力の増大を反映しておりますが、HFpEFは左室拡大ではなく左室肥大を呈しやすいためです。
H2FPEFスコア(Circulation.2018;138:861-870)が診断にも有用です。これは欧米で提案されたスコアですが、日本でも有用とされております。

BMI>30kg/m2で2点
2剤以上の降圧薬の使用で1点
心房細動(発作性でも持続性でも)で3点
エコーでの推定肺動脈圧>35mmHgで1点
60歳を超えてれば1点
エコーでE/e`が9を超えれば1点

合計6点以上でHFpEFの可能性は高いと判断します。

右心機能への注目も重要で心エコーでTAPSE/PASPをみることにより心不全症状や運動耐用能、死亡や再入院といったイベントのリスクも評価できます。0.36(あるいは0.48)未満で予後不良と判断します。

HFpEFの治療は現在はSGLT2阻害薬のみが有効性を示しており、心血管死や入院イベント抑制の効果が期待できます。

参考文献
TM Gorter et al.Eur Heart J Cardiovasc Imaging 2018;19(4).
Bosch L et al.Eur J Heart Fail 2017;19(12).

甲状腺のエコー所見

良性所見
形状;整
境界;明瞭で平滑
内部エコー;均質で低~高エコー
微細高エコー;なし
境界部低エコー帯;整

悪性所見
形状;不整
境界;不明瞭で粗雑
内部エコー;不均質で低エコー
微細高エコー;多発
境界部低エコー帯;不整あるいは認めない

★嚢胞性病変
①充実成分がなければ20mm以下なら経過観察で20mmを超えるなら穿刺。
②充実成分が50%未満なら5mm以下は経過観察。
壁外浸潤あるなら穿刺。
5mmを超えていて悪性所見が複数ある場合は穿刺。
10mmを超えて悪性所見が1つある場合は穿刺。
それ以外は経過観察。
③20mmを超えるなら穿刺

★充実性病変
①5mm以下は経過観察
②5mm~10mmで悪性を強く疑うなら穿刺
③10mm~20mmで悪性の疑いがあるなら穿刺
④20mmを超えるなら穿刺

参考文献
日本乳腺甲状腺超音波医学会甲状腺用語診断基準委員会編:甲状腺超音波診断ガイドブック改訂第3版.南江堂.

心エコー所見

左室駆出率(LVEF)
40%以下でHFrEF、40%-49%でHFmrEF、50%以上でHFpEF

左房容積指数(LAVI)
34mL/m2以上で左房拡大(左房径40mm以上あれば拡大とみなす)

三尖弁輪収縮期移動距離(TAPSE)
17mm未満で右室収縮機能低下

僧帽弁流入波形(E波/A波)
E/A比0.8未満で左室拡張障害、E/A比2以上で左室充満圧上昇

e`(イープライム)波
7cm/秒未満で拡張機能障害

心不全の貧血

心不全がある場合の貧血では鉄欠乏や腎性貧血、希釈性貧血、慢性炎症に伴う貧血、悪液質による栄養障害性貧血が機序として重要です。
心不全がある場合は体液貯留に伴う血液の希釈のためTSAT(トランスフェリン飽和度)も参考にします。フェリチン299ng/mL未満でTSAT20%未満であれば鉄欠乏と判断します。慢性炎症のためフェリチンが高値を示すことがあるためTSATは非常に重要です。
鉄欠乏があっても経口での補充は吸収不良などもあって効果があまり見込めず、静脈投与が推奨されます。

参考文献
松川龍一編.心不全治療の現在地日本医事新報社.