γーGT

以前はγGTPでしたが、近年ではγ-GTあるいはGGTと用いるようになりました。
普段の血液検査でもよく検査される項目ですが、上昇を認めたときの鑑別疾患に関して記載します。

上昇する原因は下記です。
胆道系疾患(総胆管結石、原発性硬化性胆管炎、原発性胆汁性胆管炎、胆管癌)
肝癌
MASLD
アルコール(酵素誘導のため)
薬剤性
脂肪性肝疾患
ウイルス性肝炎

プロトロンビン時間

プロトロンビン時間(PT)は肝細胞の合成能を表しています。
肝臓は血液凝固因子の第Ⅱ、Ⅴ、Ⅶ、Ⅹ因子を産生しますが、このうち第Ⅶ因子は半減期が3時間程度と短いため、第7因子の活性低下でPTは延長します。
PTは使用する試薬によって測定値が異なるため、そのばらつきを少なくしたものがPT-INRです。

実際の臨床では肝疾患で用いることが多いです。
急性肝不全ではPTが40%以下あるいはPT-INR1.5以上を基準としています。
acute-on-chronic liver failure(ACLF)でも同様の数値を基準としています。

★PT延長の原因
低栄養
DOACやワルファリン内服
ビタミンK欠乏
肝障害
DIC

★ちなみによく一緒に用いられるAPTTの延長の原因
血友病A・B
von Willebrand病
第Ⅷ、Ⅸ、ⅩⅠ因子欠乏
ヘパリン投与

参考文献
MEDIC MEDIA.病気が見えるVol5 血液第3版.
中山伸郎.;医師薬出版株式会社医学のあゆみ Vol.292 N0.3 2025;223-227.

腎デナベーション

腎デナベーション(RDN)は高血圧に行うデバイス治療です。
2026年3月から保険適応となっています。
これはカテーテルを用いて腎動脈内腔から遠心性腎交感神経と求心性腎知覚神経を超音波を用いて焼灼してしまうという治療です。
遠心性腎交感神経の焼灼によりレニン分泌は抑制され、求心性腎知覚神経の焼灼により圧受容器の感度を改善し降圧作用が発揮されます。
治療抵抗性の高血圧に対する新しい選択肢です。

参考文献
日本高血圧学会高血圧管理・治療ガイドライン作成委員会編.高血圧管理・治療ガイドライン2025.ライフサイエンス;2025.

HFpEF

LVEF50%以上の心不全のことです。
診断は難しく、BNPはHFrEFと比較すると低値となります。BNPは左室拡張末期壁応力の増大を反映しておりますが、HFpEFは左室拡大ではなく左室肥大を呈しやすいためです。
H2FPEFスコア(Circulation.2018;138:861-870)が診断にも有用です。これは欧米で提案されたスコアですが、日本でも有用とされております。

BMI>30kg/m2で2点
2剤以上の降圧薬の使用で1点
心房細動(発作性でも持続性でも)で3点
エコーでの推定肺動脈圧>35mmHgで1点
60歳を超えてれば1点
エコーでE/e`が9を超えれば1点

合計6点以上でHFpEFの可能性は高いと判断します。

右心機能への注目も重要で心エコーでTAPSE/PASPをみることにより心不全症状や運動耐用能、死亡や再入院といったイベントのリスクも評価できます。0.36(あるいは0.48)未満で予後不良と判断します。

HFpEFの治療は現在はSGLT2阻害薬のみが有効性を示しており、心血管死や入院イベント抑制の効果が期待できます。

参考文献
TM Gorter et al.Eur Heart J Cardiovasc Imaging 2018;19(4).
Bosch L et al.Eur J Heart Fail 2017;19(12).

甲状腺のエコー所見

良性所見
形状;整
境界;明瞭で平滑
内部エコー;均質で低~高エコー
微細高エコー;なし
境界部低エコー帯;整

悪性所見
形状;不整
境界;不明瞭で粗雑
内部エコー;不均質で低エコー
微細高エコー;多発
境界部低エコー帯;不整あるいは認めない

★嚢胞性病変
①充実成分がなければ20mm以下なら経過観察で20mmを超えるなら穿刺。
②充実成分が50%未満なら5mm以下は経過観察。
壁外浸潤あるなら穿刺。
5mmを超えていて悪性所見が複数ある場合は穿刺。
10mmを超えて悪性所見が1つある場合は穿刺。
それ以外は経過観察。
③20mmを超えるなら穿刺

★充実性病変
①5mm以下は経過観察
②5mm~10mmで悪性を強く疑うなら穿刺
③10mm~20mmで悪性の疑いがあるなら穿刺
④20mmを超えるなら穿刺

参考文献
日本乳腺甲状腺超音波医学会甲状腺用語診断基準委員会編:甲状腺超音波診断ガイドブック改訂第3版.南江堂.

心エコー所見

左室駆出率(LVEF)
40%以下でHFrEF、40%-49%でHFmrEF、50%以上でHFpEF

左房容積指数(LAVI)
34mL/m2以上で左房拡大(左房径40mm以上あれば拡大とみなす)

三尖弁輪収縮期移動距離(TAPSE)
17mm未満で右室収縮機能低下

僧帽弁流入波形(E波/A波)
E/A比0.8未満で左室拡張障害、E/A比2以上で左室充満圧上昇

e`(イープライム)波
7cm/秒未満で拡張機能障害

心不全の貧血

心不全がある場合の貧血では鉄欠乏や腎性貧血、希釈性貧血、慢性炎症に伴う貧血、悪液質による栄養障害性貧血が機序として重要です。
心不全がある場合は体液貯留に伴う血液の希釈のためTSAT(トランスフェリン飽和度)も参考にします。フェリチン299ng/mL未満でTSAT20%未満であれば鉄欠乏と判断します。慢性炎症のためフェリチンが高値を示すことがあるためTSATは非常に重要です。
鉄欠乏があっても経口での補充は吸収不良などもあって効果があまり見込めず、静脈投与が推奨されます。

参考文献
松川龍一編.心不全治療の現在地日本医事新報社.

上葉優位型肺線維症(PPFE)

PPFEは上肺野に優位な原因不明の緩徐に進行する慢性線維化性間質性肺炎です。胸膜肺実質線維弾性症とも言います。
膠原病や石綿暴露などの基礎疾患がある場合もあります。
特発性肺線維症(IPF)と比較して喫煙者は少ないとされており、KL-6は上昇しないことが多く、SP-Dが上昇することが多いです。
呼吸機能検査ではFVCの著明な低下がありますが、DLCOは比較的保たれます。
胸部CTで両側肺門部の挙上肺尖部や肺尖部の喫状・帯状のコンソリデーションがあればPPFEを疑いますが、診断基準は明確なものは無く、下記に一例(Watanabe K,et al.Respir Investig 2019;57:312-320)を記載します。
①慢性経過の乾性咳嗽もしくは労作時呼吸困難
②HRCT;両側上肺野に優勢な内部に拡張した気管支透亮像を有する胸膜下の多発性コンソリデーション
③胸部X線;両側肺門挙上もしくはHRCTで上葉の容積減少
④画像あるいは組織学的PPFEパターンを有する疾患(慢性過敏性肺炎、膠原病、職業関連疾患、造血幹細胞移植や肺移植関連肺疾患)を否定できる
⑤RV/TLC%pred≧80%
⑥BMI≦20Kg/m2かつRV/TLC%pred.≧80%
上記の①②③④かつ⑤もしくは⑥が満たされればほぼ確実診断。

治療は定まったものはありません。
栄養管理でるい痩の防止と気胸、感染症に注意しての経過観察です。
IPFという病名をつけて抗線維化薬も選択肢には入ります。
PPFEは凄く稀という訳ではなく、頻度は少ないですが時折みかけます。
若年であれば肺移植も検討されますが、それ以外では栄養指導、定期的な画像フォローと必要に応じて在宅酸素療法などを行い経過を見ます。治療効果のある薬剤の出現が待たれますね。

参考文献
日本呼吸器学会 びまん性肺疾患診断・治療ガイドライン作成委員会編.特発性間質性肺炎診断と治療の手引き2022改訂第4版.南江堂

好酸球性肺炎のCT画像

①急性好酸球性肺炎
境界不明瞭な淡い濃度上昇域、すりガラス影、浸潤影が辺縁優位にみられる。
下肺野に優位。
両側胸水も認めることが多い。
小葉間隔壁肥厚もみられる。

②慢性好酸球性肺炎
両肺外側末梢に非区域性のすりガラス影や濃い浸潤影で上中肺野に多い。
胸水はまれで別日に画像を撮影すると陰影の移動を認めることが多い。
小葉間隔壁の肥厚を認めることもある。

サクビトルバルサルタン

アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)はレニン・アンジオテンシン系(RAS)の抑制とcGMPの活性化を機序とする薬剤です。
RASの抑制とcGMPの活性化は両方とも心保護に働きます。

副作用として低血圧、高カリウム血症、腎機能障害、血管浮腫、脱水などがあります。

高血圧と心不全に治療適応がありますが、使用される用量が微妙に異なります。
高血圧では100-400mg/日、心不全では50mg-400mg/日の範囲で調整可能です。

高血圧にも治療適応がある薬で、使用頻度はとても多いですが薬価が高いのが難点です。過降圧になることも時折経験するため注意が必要です。
また、ネプリライシンを阻害することでBNPが上昇するためBNPを心不全の治療効果で利用しづらく、NT-proBNPを用います。NT-proBNPは腎機能障害に影響を受けるため注意が必要です。

使用には最新の添付文書の確認が必要です。