認知症による暴力行為

認知症による暴力行為を認めた場合、早急な対策が必要です。
非定型抗精神病薬か抗痙攣薬が選択肢になります。非定型抗精神病は用量は多めで処方されることもあり(例リスペリドン1日8mg分2など)、普段使い慣れていないと処方するのが少し怖いと思います。基本的には少量から開始し増量していく方法が多く、私も少量から始めていきます。カルバマゼピンを1回100mgから開始し効果を見ながら増量していき対応することもあります。
使用される非定型抗精神病薬はクエチアピン、オランザピン、リスペリドン、ペロスピリンがありますが、認知症に対しての保険適応がなく、プラセボと比較して死亡率が上昇する可能性もあり家族に説明したうえで用います。メマンチンや抑肝散も用いることがよくあります。
暴力行為がでる状況の確認も重要で、機嫌が良い時は暴力を振るわないようでいるなら、機嫌がいい時間を増やす様に生活を工夫することも大切です。

参考文献
田平武;かかりつけ医のための認知症診療テキスト改訂第2版.
川畑信也.かかりつけ医・非専門医のための認知症診療メソッド.

心不全の分類

①LVEFによる分類
LVEF≦40% ⇒ HFrEF
LVEF41-19% ⇒ HFmrEF
LVEF≧50% ⇒ HFpEF
LVEFが40%未満から10%以上上昇し40%を超える ⇒ HFimpEF

②心不全の病期による分類
ステージA(心不全リスク)
ステージB(前心不全)
ステージC(症候性心不全)
ステージD(治療抵抗性心不全)

ステージAは高血圧、動脈硬化性疾患、糖尿病、慢性腎臓病、肥満、心筋症家族歴、心毒性物質への暴露(薬剤など)などを有している状態で症状はなくBNPも上昇がありません。かなり多くの方がここに当てはまる状態であると思いますが、この状態で疾患管理を行いステージBに進行しないように心掛ける必要があります。糖尿病にはSGLT2阻害薬、慢性腎臓病にはSGLT2阻害薬とフィネレノンが心不全発症予防に重要です。適応があれば積極的に使用したいです。
ステージBはBNPやNT-proBNPが上昇してきます。BNPは35pg/mL以上、NT-proBNPは125pg/mL以上がステージBへの移行を考えるカットオフ値です。左房拡大や左室拡大などの構造的異常、あるいはLVEFの低下などの機能的異常が見られ始めます。心筋梗塞の既往があるけど心不全に至っていない場合もステージBでありスタチンでの脂質管理が重要です。
ステージCは症候性心不全であり明確に症状がでてき始めます。LVFEに沿って適切な治療を行い、StageDへの移行を遅らせることを目的とします。
ステージDは治療抵抗性心不全です。今までの心不全のイメージと言えばステージCやステージDでしたが、ステージAとBの考え方を用いることで心不全発症の予防に関心を向けることがしやすくなった気がします。ステージAの患者さんには1年に1回ぐらいはBNPやNT-proBNPの測定をしてもいいかもしれません。
昔と比較して新規のエビデンスのある治療薬も出現してきており、導入タイミングを逃さず治療していきたいものです。

参考文献
日本循環器学会/日本心不全学会;2025年改訂版 心不全診療ガイドライン.

原発性骨粗鬆症の薬物開始基準

脆弱骨折ありで椎体骨折または大腿骨近位部骨折→薬物治療開始
その他の脆弱骨折がありYAM値の80%未満→薬物治療開始

脆弱骨折がないがYAM値の70%以下または-2.5SD以下→薬物治療開始

脆弱骨折がなくYAM値の70%以上かつ80%未満でFRAX®15%以上(75歳未満の場合にのみこの適応は使用できる)→薬物治療開始
脆弱骨折がなくYAM値の70%以上かつ80%未満で大腿骨近位部骨折家族歴+→薬物治療開始

参考文献
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会編;骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版.

FRAX®

FRAX®は骨折リスク評価ツールでWeb上で利用可能で今後10年間の骨折リスクを計算できます。

必要な情報は下記です。
大腿骨近位部骨密度

年齢、性別、身長、体重
既存骨折
両親の大腿骨近位部骨折歴
喫煙、飲酒
ステロイド使用の有無
関節リウマチの有無
続発性骨粗鬆症の有無

FRAX®が15%以上だと骨折ハイリスクと判断します。


糖尿病があると骨質劣化や低血糖による転倒などもあると思いますが、上記のリスクには含まれておりません。FRAX®以外にも様々な要素を考える必要があるかもしれません。

骨代謝マーカー

①骨吸収マーカー
血清;NTX,CTX,TRACP-5b
尿;DPD,NTX,CTX

②骨形成マーカー
血清;BAP,P1NP

③骨マトリックス関連マーカー
血清;ucOC(低カルボキシル化オステオカルシン)

骨吸収抑制薬を使用する場合はTRACP-5bやNTXの測定が推奨されますが、6カ月に1回はBAP、P1NPの測定が推奨されます。

骨形成促進薬を使用する場合はP1NPが推奨されます。

ビタミンK2薬を使用する場合はucOCが推奨されます。
骨代謝マーカーは治療開始前と開始後6カ月以内にそれぞれ1回のみ保険適応です。

参考文献
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成員会編;骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版.

糖尿病の臨床的骨折リスク因子

・糖尿病罹患歴が10年以上
・インスリン使用
・HbA1c7.5%以上
・閉経後女性のチアゾリジン使用
・喫煙
・転倒リスクが高い状態
・サルコペニアの合併
・重症低血糖が危惧される薬剤使用

参考文献
生活習慣病骨折リスクに関する診療ガイド. 2019年版.

過敏性肺炎のCTパターン

①非繊維性過敏性肺炎

・Typical HP(HPを示唆するHTCT所見)
前提は肺野病変+細気管支病変
肺野病変;すりガラス陰影、モザイクパターン
細気管支病変;境界不明瞭な小葉中心性粒状影、呼気CTでのair trapping
分布;頭尾方向にびまん性で肺底部がスペアされる(保たれる、病変が乏しい)ことがある。水平方向にもびまん性。

・Compatible with HP(Typicalに該当しないがHPにおいて報告されている非線維化性HRCT所見)
前提は肺野病変のみ
肺野病変;均質で軽微なすりガラス影、コンソリデーション、薄壁嚢胞散在
分布;頭尾方向にびまん性だが下肺野優位の場合もあり。水平方向にもびまん性だが気管支血管束優位の場合もあり

注意点として2021年のCHESTのガイドラインでは分布の違いは考慮されておらず、分布が非典型的でも疾患否定はできません。

②繊維性過敏性肺炎

・Typical HP(HPを示唆するHTCT所見)
前提は構造改変を伴う線維化所見(不整な線上影や網状影)+細気管支病変
線維化所見;分布はランダム、中肺野優位、比較的肺底部がスペアされる。蜂巣肺や牽引性気管支拡張もある場合があるが主体ではない。
細気管支病変;境界不明瞭な小葉中心性粒状影やすりガラス影、モザイクパターン、three density patternあるいはair trapping

・Compatible with HP(Typicalに該当しないが細気管支病変を併存するもの)
Typicalとは異なる肺の線維化病変;UIPパターン、広範なすりガラス影と軽度の線維化病変。
分布;水平方向に中枢や気管支血管束周囲、胸膜下優位、頭尾方向に上肺野優位
細気管支病変;境界不明瞭な小葉中心性粒状影やすりガラス影、モイクパターン、three density patternあるいはair trapping

・Indeterminate for HP(TypicalにもCompatibleにも該当しない線維化病変)
前提は肺の線維化病変単独
UIPパターン、NSIP+OPパターン、Truly indeterminate HRCTパターン。

肺野と細気管支病変を認めたら過敏性肺炎を疑うことが重要です。過敏性肺炎は思っている以上によくみかけます。CTを撮影し異常陰影があったら常に頭に入れておきたい疾患です。

参考文献
日本呼吸器学会 過敏性肺炎診療指針2022作成委員会編;過敏性肺炎診療指針2022

グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症

グルココルチコイドは様々な疾患で使用されるが、骨粗鬆症への影響は無視できません。
生体内ではプレドニゾロン(PSL)換算で2-2.5mgのコルチゾールが産生されるため、少しのPSL内服でも生体にとっては影響が大きいとされています。
どれくらいかというと、PSL1mg/日の投与でも骨粗鬆症のリスクは増大するほどです。
グルココルチコイド誘発性って長い名前だなと思っていましたが、ステロイドには骨粗鬆症のリスクにはならないエストロゲンやアンドロゲンなども含まれてしまうからステロイド誘発性ではなくグルココルチコイド誘発性と言っているらしいです。

グルココルチコイドを使用する場合の骨粗鬆症予防の治療を開始する基準は3か月以上薬を継続するか、18歳以上かどうかです。18歳以上で3か月以上使用しているか今後使用する場合は、リスク因子を点数化して3点以上であれば治療を開始します。3点未満であれば定期的な経過観察で定期的なスコアの見直しが必要です。治療は一般的な骨粗鬆症とほぼ同様でビスホスホネート製剤や抗RANKL抗体、SERM、活性化ビタミンD、PTH受容体作動薬を用います。リスク因子は下記です。

既存骨折          なし0点、あり7点
年齢            50歳未満0点、50-65未満 2点、65歳以上4点
PSL換算(/日)での投与量  5mg未満0点、5-7.5mg未満1点、7.5mg以上4点
骨密度(%YAM)       80以上0点、70~80未満2点、70未満4点

グルココルチコイドはサルコペニア、心血管障害、脳血管障害のリスクともなるため注意が必要な薬剤ですが、日常診療では必須の薬でよく使用されます。
常に最小限の容量を意識して診療が必要です。

参考文献
日本骨代謝学会 グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症の管理と治療のガイドライン作成委員会編:グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症の管理と治療のガイドライン2023.南山堂.



急性腎障害(AKI)の原因疾患

①腎前性
体液量・有効循環血漿量の減少;下痢や嘔吐、出血、急性膵炎、肝硬変、ネフローゼ症候群、利尿薬、尿崩症など
心拍出量減少;心不全、不整脈、肺塞栓症
末梢血管の拡張;敗血症、アナフィラキシーショック、降圧薬
腎動脈閉塞・狭窄;大動脈解離、腎動脈血栓
腎血管の収縮;肝腎症候群、NSAIDs、シクロスポリン、タクロリムス
輸出動脈の拡張;ACE阻害薬、ARB

②腎性
血管障害;結節性多発動脈炎、強皮症、悪性高血圧、溶血性尿毒症性症候群、血栓性血小板減少性紫斑症、抗リン脂質抗体症候群、コレステロール塞栓症
糸球体障害;急速進行性糸球体腎炎、急性糸球体腎炎
急性間質性腎炎;薬剤アレルギー、急性腎盂腎炎
急性尿細管障害;腎前性の長期持続、アミノグリコシド、ヨード造影剤、横紋筋融解症、溶血、蛋白性尿細管閉塞、血漿性尿細管閉塞

AKIの精査で腎臓癌を経験したこともあるためそれも鑑別に入ると思います。

③腎後性
後腹膜線維症、悪性腫瘍、前立腺肥大症、前立腺がん、神経因性膀胱、尿胃管結石、尿肝腫瘍

参考文献
AKI治療の実際.阿部雅紀編.日本医事新報社