レジオネラ肺炎

レジオネラ肺炎は頻度は低いですが重症化リスクが高く注意が必要です。

レジオネラ尿中抗原は肺炎発症後数か月は持続することがあり解釈に注意が必要とされていますが、陽性であり肺炎があれば基本的にはレジオネラ肺炎と診断して届け出を行い治療をします。

レジオネラ肺炎の診断予測スコア
男性、咳嗽なし、呼吸困難感あり、CRP18以上、Na134未満、LDH260以上
1項目1点で3点以上でレジオネラ肺炎を疑う。

治療はニューキノロン系やマクロライド系薬を用います。レボフロキサシン、ラスクフロキサシン、アジスロマイシンなどを用います。個人的な経験ではレボフロキサシン単剤が多いですが、重症な場合はレボフロキサシンとアジスロマイシンを併用しています。

参考文献
日本呼吸器学会成人肺炎診療ガイドライン2024作成委員会編.成人肺炎診療ガイドライン2024.メディカルレビュー社.

ベンゾジアゼピン(BZ)受容体作動薬

非BZ系はBZ系よりも筋弛緩作用や耐性リスクが軽減されています。
超短時間型は入眠困難に使用します。
短時間型は入眠困難と中途覚醒の両方があるときにまず用いる。
中時間作用型は緩和ケア領域で内服が難しい場合に使用しますが、呼吸抑制や以前に注意が必要です。
午後になると体調が悪くなる場合は離脱症状を考慮が必要です。

①超短時間型
トリアゾラム(ハルシオン®)・・離脱症状強い。日中の不安のリスク。
ゾピクロン(アモバン®)・・非BZ。苦味があり翌日の日中も持続することがある。
ゾルピデム(マイスリー®)・・非BZ。夜間の摂食異常、睡眠中の行動異常に注意。
エスゾピクロン(ルネスタ®)非BZ。アモバン®より苦味が軽減。

②短時間型
エチゾラム(デパス®)・・依存や乱用、離脱症状注意。
ブロチゾラム(レンドルミン®)・・離脱症状注意。
リルマザホン(リスミー®)・・離脱症状注意。
ロルメタゼパム(エバミール®、ロラメット®)・・離脱症状注意。

③中間型
フルニトラゼパム(ロヒプノール®、サイレース®)・・催眠作用強い。
エスタゾラム(ユーロジン®)・・離脱症状注意。
ニトラゼパム(ベンザリン®、ネルボン®)・・離脱症状注意。

④長時間型
クアゼパム(ドラール®)
フルラぜパム(ダルメート®)
ハロキサゾラム(ソメリン®)

使用には最新の添付文書に沿った対応が必要です。

参考文献
稲田健編.本当にわかる精神科の薬はじめの一歩改訂版.羊土社.
小川朝生編.病棟でのせん妄・不眠・うつ病・物忘れに対処する精神科の薬もわかる!.MEDICAL VIEW.
森田達也著/緩和治療薬の考え方,使い方ver.3.中外医学社.

不眠

不眠とは、睡眠をとる機会があるのに入眠困難や睡眠維持の障害があり、日中に眠気や疲労感などの機能障害があることを言います。
持続期間が3か月未満の急性不眠と3か月以上の慢性不眠に分類され、急性不眠では薬物療法、慢性不眠では認知行動療法が第一選択となります。

慢性不眠には眠ろうとすると眠れなくなる精神性理性不眠、家族からの報告では寝ているのに本人が寝ていないと強く訴える逆説性不眠症などがあります。
不眠は入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒のいずれかあるいは複数合併しているかを考えます。

入眠困難はむずむず脚症候群、中途覚醒は夜間頻尿や閉塞性睡眠時無呼吸、早朝覚醒は鬱病や飲酒を考えます。アルコール依存症では断酒後も1年以上睡眠以上が持続することもあるようです。精神疾患の初期症状という可能性も考慮が必要です。

薬剤でも不眠をきたすことがあり、抗うつ薬、抗てんかん薬、抗パーキンソン薬、ステロイド、テオフィリン、β遮断薬などが様々な薬が原因となり得ます。

慢性不眠の治療は睡眠日誌をつけ、睡眠衛生の指導、体内時計の調整(朝食摂取、朝の光を浴びる)、昼寝の禁止、臥床時間制限(6-8時間)などを行ったうえで改善が乏しければ睡眠薬を使用します。


メラトニン受容体作動薬

ラメルテオン(ロゼレム®)があります。
メラトニン(メラトベル®)もありますが神経発達症に用いるため眠剤として使用しないので言及はしません。

①ロゼレム®
1日1回眠前8mg内服
体内時計に関与する視交叉上核に作用。
睡眠覚醒リズムの改善に用いる。
フルボキサミン(ルボックス®、デプロメール®。SSRIの一種)と併用しない。
就眠効果は弱いですが、睡眠覚醒リズムの改善が見込めるためせん妄や眠剤の効果が高すぎる場合に使用しやすい。
筋弛緩作用が少ない。
効果発現に数日から数週間はかかる。

使用には最新の添付文書に沿って対応が必要です。

オレキシン受容体拮抗薬

レンボレキサント(デエビゴ®)
スボレキサント(ベルソムラ®)
ダリドレキサント(クービビック®)
ボルノレキサント(ボルズィ®)
があります。
これらの薬剤の併用はあまり効果がありません。胃酸などの影響を受けるため空腹時に内服が基本です。
中途覚醒や早朝覚醒には効果が高いけど、入眠困難には効果が低いとされています。
悪夢や睡眠麻痺(金縛り)に注意が必要です。
GABA受容体に作用しないので依存やせん妄は引き起こさない(GABA受容体を解する睡眠薬と比較してなので全くないという訳ではないと思います)。
薬を中止しても不眠が悪化しないとされるのも特徴。
イトラコナゾール、クラリスロマイシン、ボリコナゾール、ポサコナゾール、パキロピッド®、ゾコーバ®など併用できない薬がある。
重度の肝障害(Chil-Pugh分類C)では使用を控える。

①デエビゴ®
1日1回眠前2.5-10mg内服(最初は5mgから開始し調整する)。
オレキシン受容体2を阻害する作用が強く入眠困難にも効果が見込める。

②ベルソムラ®
1日1回眠前20mg内服(高齢者では15mg)。
一方化できない。
粉砕できない

③クービビック®
1日1回眠前50mg内服(あるいは25mg)。

④ボルズィ®
1日1回眠前5mgから開始し(2.5mg-10mgで調整可能)
国内4剤目のオレキシン受容体拮抗薬。
半減期が短く翌日への持ち越しが少ない。


使用には最新の添付文書に沿った対応が必要です。

カルバペネム系

カルバペネム系はカバーできない微生物が重要
グラム陽性菌;MRSA、腸球菌
グラム陰性菌;ステノトロフォモナス・マルトフィリア、セパシア
非定型肺炎(マイコプラズマ、クラミジア、レジオネラなど)
真菌
リケッチア

ESBLなどのカルバペネム系が必要な時、あるいは敗血症や発熱性好中球減少症などの初期治療失敗のリスクが高い時は迷わず使います。

①イミペネム・シラスタチン
時間依存性で1日3-4回投与が必要。
シラスタチンはイミペネムが腎臓で不活化されるのを防ぐ役割。

②メロペネム
時間依存性で1日3回投与が必要。

カルバペネム系はバルプロ酸の濃度を低下されるため併用は禁忌。

薬剤Ccr(mL/分)血液透析腹膜透析
イミペネム・シラスタチンCcr≧60
1回500㎎ 6時間毎
Ccr30-59
1回500mg 8時間毎
Ccr15-29
1回200mg 6時間毎
Ccr15未満 投与避ける1回500mg 12時間毎 透析日の場合は透析後に投与1回125-250mg
12時間毎
メロペネムCcr>50
1回1g
8時間毎
Ccr25-50
1回1g
12時間毎
Ccr10-24
1回0.5g
12時間毎
Ccr10未満 1回0.5g
24時間毎
1回0.5g
24時間毎
1回0.5g
24時間毎

使用には最新の添付文書の確認が必要です。

ペニシリン系(経口薬)

①アモキシシリン
アンピシリンと同様のスペクトラムです。
アンピシリン内服はバイオアベイラビリティが40%程度のため使用せずアモキシシリン(バイオアベイラビリティ80-90%)を使用します。

②アモキシシリン・クラブラン酸
クラブラン酸はβラクタマーゼ阻害薬なのでペニシリナーゼを産生する菌にも効果があります。

使用には最新の添付文書の確認が必要です。

リンパ浮腫の特徴

慢性
夕方に増悪する浮腫ではなく、朝から持続しており日内変動がない
片側性
悪性腫瘍の既往やリンパ節郭清、放射線治療後。その他の原因として関節リウマチや妊娠、摂食性皮膚炎、黄色爪症候群なども原因となりうる。
繰り返す蜂窩織炎。
第2足趾の付け根の皮膚をつまみ上げることができない(Stemmerサイン陽性)。
罹病期間が長いと皮膚の肥厚がでてくる。
確定診断にはリンパシンチグラフィが必要だが現実的ではなく病歴や身体所見で診断。

治療は弾性着衣、用手的リンパドレナージ、スキンケア、圧迫下の運動、外科的治療(リンパ管細静脈吻合術や脂肪吸引術など)。
薬物療法は漢方(柴苓湯、五苓散など)を使用する場合があるが根本治療ではない。

参考文献
日本リンパ浮腫学会編.2024年版リンパ浮腫診療ガイドライン.金原出版株式会社.

下肢浮腫

浮腫とは間質における過剰な体液です。下肢浮腫の診察は足背か脛骨前面で浮腫の有無を確認します。
足背とスネを見て約10秒圧迫し、圧痕の深さと押したところが何秒でもとに戻るかを見ます。
40秒で改善しない場合はslow edema、改善する場合はfas edemaと言い、圧痕があるかで圧痕性・非圧痕性を区別します。

 圧痕性浮腫(pitting edema)非圧痕性浮腫
(non-pitting edema)
Fast edemaSlow edema
局所性深部静脈血栓症 慢性静脈不全 蜂窩織炎リンパ浮腫 血管性浮腫
全身性低アルブミン血症心不全甲状腺機能低下症 脂肪性浮腫
全身性浮腫(両側下肢はこちら)局所性浮腫(片側下肢はこっち)
心不全、肺高血圧症蜂窩織炎、壊死性筋膜炎
腎不全、CKD,ネフローゼ症候群ベイカー嚢胞破裂
肝硬変血管性浮腫
甲状腺機能低下症深部静脈血栓症
薬剤性慢性静脈不全
低栄養リンパ浮腫
妊娠・月経浮腫不動性
特発性浮腫 など

薬剤性はNSAIDs、Ca拮抗薬、ステロイドのみではなく、β遮断薬やプレガバリン、ドパミンアゴニスト、漢方(甘草)など様々な薬剤が原因となります。

血管性浮腫で好酸球増を伴う場合は好酸球性血管性浮腫を疑います、一過性のNEAEと再発するEAEがあります。EAEは自然軽快がしづらいためステロイドを投与しますが、NEAEは自然軽快しやすいため経過観察です。

花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)

PFASはある花粉抗原に感作されると、交差抗原性のある他の植物性食物を摂取したときにアレルギー症状が出現する症候群です。アレルギーの症状としては口腔咽頭症状が多いですが、アナフィラキシーをきたすこともあります。

症状は口腔内の掻痒や刺激感、鼻症状、耳症状、皮膚症状、消化器症状、呼吸器症状などがでますが、口腔内の症状のみであることが多いとされています。

診断は花粉の特異的IgE抗体測定と、食物に対する特異的IgE抗体や皮膚プリックテスト、負荷試験、プリック-プリックテスト(抗原抽出液ではなく、生の食材を使用するプリックテスト)です。

治療は症状が軽ければ不要ですが、症状が強い場合はヒスタミンH₁受容体拮抗薬を投与します。

PFASに関与する花粉と食物は下記です(一般社団法人日本アレルギー学会.アレルギー総合ガイドライン2022,協和企画)

花粉プロテインファミリー食物
カバノキ科ハンノキ属ハンノキ オオバヤ シャブシBetv1ホモログ
(PR-10) プロフィリン
バラ科 マメ科 マタタビ科 カバノキ科  
カバノキ属シラカンバ
ヒノキ科スギ属スギPolygalacturonaseナス科
イネ科アワガエリ属 カモガヤ属オオアワガ エリ カモガヤプロフィリンウリ科 ナス科 マタタビ科 ミカン科 マメ科
キク科ブタクサ属ブタクサプロフィリンウリ科 バショウ科
ヨモギ属ヨモギプロフィリンセリ科 ウルシ科
バラ科(リンゴ、モモ、サクランボ、ナシ、アンズ、アーモンド)
マメ科(ピーナッツ。カバノキ科は大豆と緑豆もやしもある)
マタタビ科(キウイフルーツ)
カバノキ科(ヘーゼルナッツ)
ナス科(トマト)
ウリ科(メロン、スイカ。ブタクサの場合はズッキーニやキュウリもある)
ミカン科(オレンジ)
バショウ科(バナナ)
セリ科(セロリ、ニンジン、スパイス類)
ウルシ科(マンゴー)

PFASに関与するアレルゲンは感染特異的蛋白PR-10とプロフィリンが主なものです。
ただし保険収載されている検査は限られているので注意が必要です(大豆PR-10のGlim4IgE抗体のみ)。