ペニシリン系(経口薬)

①アモキシシリン
アンピシリンと同様のスペクトラムです。
アンピシリン内服はバイオアベイラビリティが40%程度のため使用せずアモキシシリン(バイオアベイラビリティ80-90%)を使用します。

②アモキシシリン・クラブラン酸
クラブラン酸はβラクタマーゼ阻害薬なのでペニシリナーゼを産生する菌にも効果があります。

リンパ浮腫の特徴

慢性
夕方に増悪する浮腫ではなく、朝から持続しており日内変動がない
片側性
悪性腫瘍の既往やリンパ節郭清、放射線治療後。その他の原因として関節リウマチや妊娠、摂食性皮膚炎、黄色爪症候群なども原因となりうる。
繰り返す蜂窩織炎。
第2足趾の付け根の皮膚をつまみ上げることができない(Stemmerサイン陽性)。
罹病期間が長いと皮膚の肥厚がでてくる。
確定診断にはリンパシンチグラフィが必要だが現実的ではなく病歴や身体所見で診断。

治療は弾性着衣、用手的リンパドレナージ、スキンケア、圧迫下の運動、外科的治療(リンパ管細静脈吻合術や脂肪吸引術など)。
薬物療法は漢方(柴苓湯、五苓散など)を使用する場合があるが根本治療ではない。

参考文献
日本リンパ浮腫学会編.2024年版リンパ浮腫診療ガイドライン.金原出版株式会社.

下肢浮腫

浮腫とは間質における過剰な体液です。下肢浮腫の診察は足背か脛骨前面で浮腫の有無を確認します。
足背とスネを見て約10秒圧迫し、圧痕の深さと押したところが何秒でもとに戻るかを見ます。
40秒で改善しない場合はslow edema、改善する場合はfas edemaと言い、圧痕があるかで圧痕性・非圧痕性を区別します。

 圧痕性浮腫(pitting edema)非圧痕性浮腫
(non-pitting edema)
Fast edemaSlow edema
局所性深部静脈血栓症 慢性静脈不全 蜂窩織炎リンパ浮腫 血管性浮腫
全身性低アルブミン血症心不全甲状腺機能低下症 脂肪性浮腫
全身性浮腫(両側下肢はこちら)局所性浮腫(片側下肢はこっち)
心不全、肺高血圧症蜂窩織炎、壊死性筋膜炎
腎不全、CKD,ネフローゼ症候群ベイカー嚢胞破裂
肝硬変血管性浮腫
甲状腺機能低下症深部静脈血栓症
薬剤性慢性静脈不全
低栄養リンパ浮腫
妊娠・月経浮腫不動性
特発性浮腫 など

薬剤性はNSAIDs、Ca拮抗薬、ステロイドのみではなく、β遮断薬やプレガバリン、ドパミンアゴニスト、漢方(甘草)など様々な薬剤が原因となります。

血管性浮腫で好酸球増を伴う場合は好酸球性血管性浮腫を疑います、一過性のNEAEと再発するEAEがあります。EAEは自然軽快がしづらいためステロイドを投与しますが、NEAEは自然軽快しやすいため経過観察です。

花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)

PFASはある花粉抗原に感作されると、交差抗原性のある他の植物性食物を摂取したときにアレルギー症状が出現する症候群です。アレルギーの症状としては口腔咽頭症状が多いですが、アナフィラキシーをきたすこともあります。

症状は口腔内の掻痒や刺激感、鼻症状、耳症状、皮膚症状、消化器症状、呼吸器症状などがでますが、口腔内の症状のみであることが多いとされています。

診断は花粉の特異的IgE抗体測定と、食物に対する特異的IgE抗体や皮膚プリックテスト、負荷試験、プリック-プリックテスト(抗原抽出液ではなく、生の食材を使用するプリックテスト)です。

治療は症状が軽ければ不要ですが、症状が強い場合はヒスタミンH₁受容体拮抗薬を投与します。

PFASに関与する花粉と食物は下記です(一般社団法人日本アレルギー学会.アレルギー総合ガイドライン2022,協和企画)

花粉プロテインファミリー食物
カバノキ科ハンノキ属ハンノキ オオバヤ シャブシBetv1ホモログ
(PR-10) プロフィリン
バラ科 マメ科 マタタビ科 カバノキ科  
カバノキ属シラカンバ
ヒノキ科スギ属スギPolygalacturonaseナス科
イネ科アワガエリ属 カモガヤ属オオアワガ エリ カモガヤプロフィリンウリ科 ナス科 マタタビ科 ミカン科 マメ科
キク科ブタクサ属ブタクサプロフィリンウリ科 バショウ科
ヨモギ属ヨモギプロフィリンセリ科 ウルシ科
バラ科(リンゴ、モモ、サクランボ、ナシ、アンズ、アーモンド)
マメ科(ピーナッツ。カバノキ科は大豆と緑豆もやしもある)
マタタビ科(キウイフルーツ)
カバノキ科(ヘーゼルナッツ)
ナス科(トマト)
ウリ科(メロン、スイカ、ブタクサの場合はズッキーニやキュウリもある)
ミカン科(オレンジ)
バショウ科(バナナ)
セリ科(セロリ、ニンジン、スパイス類)
ウルシ科(マンゴー)

PFASに関与するアレルゲンは感染特異的蛋白PR-10とプロフィリンが主なものです。
ただし保険収載されている検査は限られているので注意が必要です(大豆PR-10のGlim4IgE抗体のみ)。

ネフローゼ症候群

ネフローゼ症候群は腎糸球体係蹄障害のため蛋白透過性亢進が生じ、蛋白尿と低アルブミン血症を呈する疾患です。
腎機能障害や浮腫、脂質異常症、易感染性などを合併します。
原発性と続発性に分類されます。
原発性では若年者で微小変化型ネフローゼ症候群が多く、高齢者では膜性腎症が多いとされており、腎生検で診断します。

ネフローゼ症候群の診断基準
①尿蛋白/クレアチニン比が3.5g/gCr以上
②血清アルブミン3.0g/dl未満
上記がそろえば診断できます。

治療は腎生検によって得られる疾患により異なります。
ステロイドや免疫抑制剤が使用されます。

私の場合は2,3カ月に1症例ぐらいは外来で診断します。浮腫や腎機能障害、脂質異常症の原因疾患としてネフローゼ症候群を考慮することが大切です。

参考文献;日内会誌 114:823-830,2025.

分類不能型間質性肺疾患(UC-ILD)

間質性肺疾患(ILD)の診断には呼吸器内科医、放射線科医、病理医、膠原病内科を交えた集学的な検討(MDD)が重要とされています。理想なので普通の病院ではまず科はそろわないと思います。
このMDDを経ても診断に至らない症例をUC-ILDとします。
その他の間質性肺疾患と同様に急性増悪を起こしたり線維化が進行したりもします。
治療は明確なものはなく、各種データをみて炎症か線維化どちらの方が病態となっていそうかでステロイドや免疫抑制剤などの免疫抑制療法、あるいはニンテタニブなどの抗線維化薬の導入を考えます。

進行性肺肺線維症(PPF)

PPFは、胸部画像で特発性肺線維症以外の間質性肺疾患で明らかな悪化の原因が不明で、下記 ①~③の3項目中2項目以上を満たす場合です。PPFは疾患名ではなく、あくまで線維化が進んでいるかどうかを判断するための概念です。

①呼吸器症状悪化
②1年以内に%FVCの絶対量が5%以上低下、あるいは%DLCOの絶対量10以上の低下
③画像所見の悪化

似たような概念のPF-ILDよりはPPFが使われることが増えてきています。

参考文献
Am J Respir Crit Care Med 2022;205:e18-47.

進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)

PF-ILDは標準的な管理・治療にも関わらず24カ月以内に呼吸機能の低下、画像の悪化、症状の悪化の基準のうちいずれかを満たす場合に診断します。基準は下記です。

 呼吸機能低下 (%FVCの相対変化量)画像所見症状
10%以上
5%以上、10%未満呼吸器症状悪化
同上CTで線維化悪化
同上呼吸器症状悪化

画像と症状とFVCですね。

参考文献
N Engl J Med 2019;381:1718-1727.

慢性腎臓病(CKD)

CKDは日本では約2000万人の患者がいます。

CKDの定義は①、②のいずれかが3か月を超えて持続する場合です。
①尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在。
②GFR<60mL/分/1.73m²
この①の腎障害は、タンパク尿(0.15g/gCr以上)、アルブミン尿(30mg/gCr以上)、尿沈査異常、尿細管障害による電解質異常、病理組織以上、画像検査による形態異常、腎移植の既往が含まれます。
①、②のいずれかなので、eGFRが保てていてもCKDの診断はつく点は重要です。ついついeGFRに目がいってしまいます。

CKDの重症度はGFRと尿アルブミン/Cr比あるいは尿蛋白/Cr比で決定します。

GFR区分
(mL/分/1.73m²)
G1≧90
G260-89
G3a45-59
G3b30-44
G415-29
G5<15
糖尿病関連腎臓病 A1A2A3
尿アルブミン/Cr比
(mg/gCr)
正常微量アルブミン尿顕性アルブミン尿
30未満30-299300以上
高血圧性腎硬化症
腎炎
多発性嚢胞腎
移植腎
不明
その他
尿蛋白/Cr比
(g/gCr)
正常軽度タンパク尿高度タンパク尿
0.15未満0.15-0.490.50以上

CKDG2A1(高血圧性腎硬化症)のように記載すると医療連携に分かりやすいとされています。
尿アルブミンや尿蛋白は尿中クレアチニンとの比で計算するため、検査オーダー時に尿蛋白のみでなく尿クレアチニンも提出しなければなりません。病院によってはワンクリックでセットでオーダーされるシステムもあります。

CKDの治療は現疾患によって差はありますが、分かりやすくまとめると食事療法と薬物療法です。

ステージエネルギー (kcal/kgBW/日)蛋白質 (g/kgBW/日)食塩 (g/日)K (mg/日)
G125-35過剰摂取しない<6制限なし
G225-35過剰摂取しない<6制限なし
G3a25-350.8-1.0<6制限なし
G3b25-350.6-0.8<6≦2000
G425-350.6-0.8<6≦1500
G525-350.6-0.8<6≦1500

薬物治療は貧血やMBDの補正、SGLT2阻害薬です。
SGLT2阻害薬はダパグリフロジン(フォシーガ®)10mg/日かエンパグリフロジン(ジャディアンス®)10mg/日です。
CKDを見たらSGLT2阻害薬の導入は使用しない理由がなければ開始が無難かなと思います。

参考文献
日本腎臓学会編.CKD診療ガイド2024.東京医学社.

間質性肺異常(ILA)

ILAとは、間質性肺疾患(ILD)とまでは診断できないが、CTで異常陰影を認めることです。
この異常陰影はすりガラス影や網状影、牽引性気管支拡張、蜂巣肺、容積減少が含まれます。

背側の胸膜直下にある微細なすりガラス影は重力効果の影響なのかILAなのか判断が困難であり、腹臥位でのCTを撮影して判断します。腹臥位でも消失がなければ重力効果は否定します。

この異常陰影は肺を6つの領域に分けて、その1つの肺野の中で5%以上を占める必要があります。この6つの領域は大動脈弓下縁と右下肺静脈を目安に上・中・下、それと左右で合計6つですが、そこまで厳密に見なくても良いのかなと思います。

ILAのうち年間10%がILDに進行するとされています。
咳嗽や労作時の息切れがある場合はILAではなくILDと判断します。
ILAはあくまで症状なし、肺機能異常なしが原則です。
また、ILAは単独で肺癌発症のリスク因子とされています。

ILAを認めた場合は喫煙歴や間質性肺炎の家族歴、吸入暴露歴、膠原病などのリスクを評価し定期的にフォローしていきます。肺疾患のリスクがあまりなければ2-3年に1度のCTフォローでよさそうです。


参考文献
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, Volume 211, Issue 7, July 2025, Pages 1132–1155