間質性肺炎の急性増悪

間質性肺炎の急性増悪の診断基準は特発性肺線維症(IPF)では決めれらていますが、その他の間質性肺炎では明確に基準はなく、IPFの急性増悪の診断基準にのっとって判断します。
原因がない特発性だけでなく、感染などの原因があっても急性増悪と言います。

                IPF急性増悪の診断基準
①IPFの診断がある(急性増悪時に行う診断でも可能)
②30日以内の呼吸状態の悪化
③CTでUIPパターン+新規のすりガラス影か浸潤影
④心不全や過剰輸液の否定

参考文献

Collard HR, Ryerson CJ, Corte TJ, et al. Acute Exacerbation of Idiopathic Pulmonary Fibrosis. An International Working Group Report..Am J Respir Crit Care Med 2016;194(3):265–75.

特発性間質性肺炎の重症度分類(難病申請用)

重症度安静時PaO₂6分間歩行時の最低SpO₂
80Torr以上90%未満の場合はⅢ
70Torr以上、80Torr未満90%未満の場合はⅢ
60Torr以上、70Torr未満90%未満の場合はⅣ
(危険な場合は測定不要)
60Torr未満測定不要

健生発1030第1号 令和5年10月30日

BALやTBLBで診断可能な疾患

特発性器質化肺炎
びまん性肺胞障害
好酸球性肺炎
非繊維性過敏性肺炎
肺胞蛋白症
薬剤性肺炎
塵肺
肉下種性疾患(サルコイドーシスなど)
アミロイドーシス
悪性腫瘍 など

肺炎に関するワクチン

インフルエンザワクチン
フルミスト®点鼻液:2歳以上18歳以下に使用できる弱毒生ワクチン。他のワクチンと同時接種可能です。
エフルエルダ®:高用量不活化インフルエンザワクチンで入院抑制効果があります。今後発売予定。
不活化インフルエンザHAワクチン:6カ月以上13歳未満は2~4週間の間隔を空けて2回接種が必要。発症予防効果もあるが高齢者の肺炎予防や入院抑制効果がある。

肺炎球菌ワクチン
莢膜多糖体型(PPSV)とタンパク結合型(PCV)がある。PCVの方が免疫原性は優れている。
肺炎球菌は小児から成人に感染するため小児ワクチンが普及すると莢膜型が置換されることによってワクチンの莢膜カバー率は変化していく。
PPSV23(ニューモバックス®):COPD増悪抑制効果、肺炎球菌性肺炎の発症や死亡率低下効果がある。
PCV13(プレベナー13®):販売中止
PCV15(バクニュバンス®):PCV13と副反応は同等。
PCV20プレベナー20®:PCV13と副反応は同等。血清型4のカバーあり。
PCV21(キャップバックス):血清型4のカバーなし。

RSウイルスワクチン
アレックスビー®:60歳以上が対象。18歳以上でRS感染重症化リスク高い場合も接種可能。
アブリスボ®:妊婦あるいは60歳以上が対象

参考文献
日内会誌113:2058-2063.2024.
医学のあゆみ Vol.295 No3.214-219.2025.

市中肺炎で使用できる迅速抗原検出検査

肺炎球菌(尿)
レジオネラ(尿)
マイコプラズマ(咽頭ぬぐい液)
インフルエンザウイルス(鼻腔・咽頭ぬぐい液)
SARS-CoV-2(鼻咽頭ぬぐい液)
RSウイルス(咽頭ぬぐい、鼻腔吸引液)
ヒトメタニューモウイルス(咽頭ぬぐい液、鼻腔吸引液)
アデノウィルス(咽頭ぬぐい液、鼻腔吸引液)

市中肺炎のウイルスの関与

市中肺炎におけるウイルスの関与の頻度
細菌単独約37%
細菌+ウイルス約15%
ウイルス単独約9%
検出なし約40%
ウイルス単独は約10%程度で肺炎は基本抗生剤は必要だと思うデータです。

ウイルスの検出頻度は
ライノ/エンテロウイルス約43%
ヒトメタニューモウイルス約18%
インフルエンザウイルス約14%
RSウイルス約10%です

予防にはワクチンが重要です。

参考文献
Miyazaki T et al.Pneumonia 2023;15:16.

β遮断薬

β遮断薬は交感神経を抑制する薬剤で、心筋β1受容体を阻害することで心拍数や心収縮力を低下させる作用を持ちます。

主なβ遮断薬
ビソプロロール(メインテート®);αβ遮断作用
アテノロール(テノーミン®)
カルベジロール(アーチスト®);β1選択性が高く喘息やCOPDに使用可能。
プロプラノロール(インデラル®)

意識障害の鑑別疾患(AIUEOTIPS)

A;Alcohol アルコール
I;Insulin インスリン(低血糖、高血糖)
U;Uremia 尿毒症
E;Encephalopathy 高血圧性脳症、肝性脳症
Endocrinopathy 内分泌疾患(副腎や甲状腺疾患など)
Electrolytes 電解質異常
O;Overdose 薬物
Decreased O2 低酸素血症、CO中毒
T;Trauma 外傷
Temperature 低体温、高体温
I;Infection 感染症
P;Psychogenic 精神疾患
Porphiria ポルフィリア
S;Seizure,Storoke SAH,Shock てんかん、脳卒中、くも膜下出血、ショック

前皮神経絞扼症候群(ACNES)

ACNESは腹壁痛を来す疾患で、腹痛があるのに画像検査で原因が指摘できない場合に疑います。
前皮神経は肋間神経から分岐し腹直筋を貫くように走行します(体の後ろから前の方)が、この神経の周囲にある脂肪が何らかの原因で圧迫されると疼痛が生じます。疼痛部位に触覚や温痛覚の低下を認め、皮膚をつまみ上げると疼痛が増強します。疼痛が比較的限局しており、カーネット徴候が陽性であれば疑います。リドカインの局所注射で改善するならより可能性が高いです。
カーネット徴候の手順は、
①仰臥位で膝を曲げてもらう。
②腕を胸部の前で組んでもらう。
③医師が疼痛部位を圧迫しておき、患者に腹筋に力を入れて頭部を挙上してもらう。
⇒疼痛が増強あるいは変わらない場合はカーネット徴候陽性
といった流れです、体力測定の時にやった腹筋のイメージです。
ACNESの原因はよくわかっておらず、腹部手術や体重変化、運動などがあります。

肋間神経から分岐する外側皮枝が障害される場合は側皮神経絞扼症候群(LACNES)、後枝が障害される場合は後皮神経絞扼症候群(POCNES)と呼ばれます。

参考文献
大塚勇輝,他.医学のあゆみ Vol.285 N0 12 2023;1084-1089.

肝炎ウイルス検査

★A型肝炎
IgM型HAV抗体;発症後1週間以内~6カ月まで陽性となるため肝炎急性期診断に用いる。
IgG型HAV抗体;既感染やワクチン接種による免疫を示す。
HAV-RNA;発症後2週間以内に陽性となる。採血や糞便から採取でき急性期診断に用いる。

★B型肝炎
HBs抗原;現在のHBV感染を示す。
HBs抗体;既感染かワクチン接種による免疫を示す。
HBc抗体;既感染を示す。
IgM型HBc抗体;感染初期に陽性、数か月で陰性になる
HBe抗原・HBe抗体;HBVの病期評価に用いる。
HBV-DNA;体内のウイルス量で20IU/mLを超えると治療適応。

★C型肝炎
HCV抗体;既感染を示す。
HCV-RNA定量;現感染を示す。

★D型肝炎
B型肝炎と重複感染するためB型肝炎マーカーの評価も必要。
HDV-RNA;現感染を示す。

★E型肝炎
IgA型HEV抗体;現感染を示す。
IgM型HEV抗体;現感染を示す。
IgG型HEV抗体;回復期か既感染を示す。
HEV-RNA;現感染を示す。血液か糞便で検査できる。

参考文献
須田剛生,他.医学の歩み Vol292 No 3 2025.234-236.