進行性肺肺線維症(PPF)

PPFは、胸部画像で特発性肺線維症以外の間質性肺疾患で明らかな悪化の原因が不明で、下記 ①~③の3項目中2項目以上を満たす場合です。PPFは疾患名ではなく、あくまで線維化が進んでいるかどうかを判断するための概念です。

①呼吸器症状悪化
②1年以内に%FVCの絶対量が5%以上低下、あるいは%DLCOの絶対量10以上の低下
③画像所見の悪化

似たような概念のPF-ILDよりはPPFが使われることが増えてきています。

参考文献
Am J Respir Crit Care Med 2022;205:e18-47.

進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)

PF-ILDは標準的な管理・治療にも関わらず24カ月以内に呼吸機能の低下、画像の悪化、症状の悪化の基準のうちいずれかを満たす場合に診断します。基準は下記です。

 呼吸機能低下 (%FVCの相対変化量)画像所見症状
10%以上
5%以上、10%未満呼吸器症状悪化
同上CTで線維化悪化
同上呼吸器症状悪化

画像と症状とFVCですね。

参考文献
N Engl J Med 2019;381:1718-1727.

慢性腎臓病(CKD)

CKDは日本では約2000万人の患者がいます。

CKDの定義は①、②のいずれかが3か月を超えて持続する場合です。
①尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在。
②GFR<60mL/分/1.73m²
この①の腎障害は、タンパク尿(0.15g/gCr以上)、アルブミン尿(30mg/gCr以上)、尿沈査異常、尿細管障害による電解質異常、病理組織以上、画像検査による形態異常、腎移植の既往が含まれます。
①、②のいずれかなので、eGFRが保てていてもCKDの診断はつく点は重要です。ついついeGFRに目がいってしまいます。

CKDの重症度はGFRと尿アルブミン/Cr比あるいは尿蛋白/Cr比で決定します。

GFR区分
(mL/分/1.73m²)
G1≧90
G260-89
G3a45-59
G3b30-44
G415-29
G5<15
糖尿病関連腎臓病 A1A2A3
尿アルブミン/Cr比
(mg/gCr)
正常微量アルブミン尿顕性アルブミン尿
30未満30-299300以上
高血圧性腎硬化症
腎炎
多発性嚢胞腎
移植腎
不明
その他
尿蛋白/Cr比
(g/gCr)
正常軽度タンパク尿高度タンパク尿
0.15未満0.15-0.490.50以上

CKDG2A1(高血圧性腎硬化症)のように記載すると医療連携に分かりやすいとされています。
尿アルブミンや尿蛋白は尿中クレアチニンとの比で計算するため、検査オーダー時に尿蛋白のみでなく尿クレアチニンも提出しなければなりません。病院によってはワンクリックでセットでオーダーされるシステムもあります。

CKDの治療は現疾患によって差はありますが、分かりやすくまとめると食事療法と薬物療法です。

ステージエネルギー (kcal/kgBW/日)蛋白質 (g/kgBW/日)食塩 (g/日)K (mg/日)
G125-35過剰摂取しない<6制限なし
G225-35過剰摂取しない<6制限なし
G3a25-350.8-1.0<6制限なし
G3b25-350.6-0.8<6≦2000
G425-350.6-0.8<6≦1500
G525-350.6-0.8<6≦1500

薬物治療は貧血やMBDの補正、SGLT2阻害薬です。
SGLT2阻害薬はダパグリフロジン(フォシーガ®)10mg/日かエンパグリフロジン(ジャディアンス®)10mg/日です。
CKDを見たらSGLT2阻害薬の導入は使用しない理由がなければ開始が無難かなと思います。

参考文献
日本腎臓学会編.CKD診療ガイド2024.東京医学社.

間質性肺異常(ILA)

ILAとは、間質性肺疾患(ILD)とまでは診断できないが、CTで異常陰影を認めることです。
この異常陰影はすりガラス影や網状影、牽引性気管支拡張、蜂巣肺、容積減少が含まれます。

背側の胸膜直下にある微細なすりガラス影は重力効果の影響なのかILAなのか判断が困難であり、腹臥位でのCTを撮影して判断します。腹臥位でも消失がなければ重力効果は否定します。

この異常陰影は肺を6つの領域に分けて、その1つの肺野の中で5%以上を占める必要があります。この6つの領域は大動脈弓下縁と右下肺静脈を目安に上・中・下、それと左右で合計6つですが、そこまで厳密に見なくても良いのかなと思います。

ILAのうち年間10%がILDに進行するとされています。
咳嗽や労作時の息切れがある場合はILAではなくILDと判断します。
ILAはあくまで症状なし、肺機能異常なしが原則です。
また、ILAは単独で肺癌発症のリスク因子とされています。

ILAを認めた場合は喫煙歴や間質性肺炎の家族歴、吸入暴露歴、膠原病などのリスクを評価し定期的にフォローしていきます。肺疾患のリスクがあまりなければ2-3年に1度のCTフォローでよさそうです。


参考文献
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, Volume 211, Issue 7, July 2025, Pages 1132–1155

間質性肺炎の急性増悪

間質性肺炎の急性増悪の診断基準は特発性肺線維症(IPF)では決めれらていますが、その他の間質性肺炎では明確に基準はなく、IPFの急性増悪の診断基準にのっとって判断します。
原因がない特発性だけでなく、感染などの原因があっても急性増悪と言います。

                IPF急性増悪の診断基準
①IPFの診断がある(急性増悪時に行う診断でも可能)
②30日以内の呼吸状態の悪化
③CTでUIPパターン+新規のすりガラス影か浸潤影
④心不全や過剰輸液の否定

参考文献

Collard HR, Ryerson CJ, Corte TJ, et al. Acute Exacerbation of Idiopathic Pulmonary Fibrosis. An International Working Group Report..Am J Respir Crit Care Med 2016;194(3):265–75.

特発性間質性肺炎の重症度分類(難病申請用)

重症度安静時PaO₂6分間歩行時の最低SpO₂
80Torr以上90%未満の場合はⅢ
70Torr以上、80Torr未満90%未満の場合はⅢ
60Torr以上、70Torr未満90%未満の場合はⅣ
(危険な場合は測定不要)
60Torr未満測定不要

健生発1030第1号 令和5年10月30日

BALやTBLBで診断可能な疾患

特発性器質化肺炎
びまん性肺胞障害
好酸球性肺炎
非繊維性過敏性肺炎
肺胞蛋白症
薬剤性肺炎
塵肺
肉下種性疾患(サルコイドーシスなど)
アミロイドーシス
悪性腫瘍 など

肺炎に関するワクチン

インフルエンザワクチン
フルミスト®点鼻液:2歳以上18歳以下に使用できる弱毒生ワクチン。他のワクチンと同時接種可能です。
エフルエルダ®:高用量不活化インフルエンザワクチンで入院抑制効果があります。今後発売予定。
不活化インフルエンザHAワクチン:6カ月以上13歳未満は2~4週間の間隔を空けて2回接種が必要。発症予防効果もあるが高齢者の肺炎予防や入院抑制効果がある。

肺炎球菌ワクチン
莢膜多糖体型(PPSV)とタンパク結合型(PCV)がある。PCVの方が免疫原性は優れている。
肺炎球菌は小児から成人に感染するため小児ワクチンが普及すると莢膜型が置換されることによってワクチンの莢膜カバー率は変化していく。
PPSV23(ニューモバックス®):COPD増悪抑制効果、肺炎球菌性肺炎の発症や死亡率低下効果がある。
PCV13(プレベナー13®):販売中止
PCV15(バクニュバンス®):PCV13と副反応は同等。
PCV20プレベナー20®:PCV13と副反応は同等。血清型4のカバーあり。
PCV21(キャップバックス):血清型4のカバーなし。

RSウイルスワクチン
アレックスビー®:60歳以上が対象。18歳以上でRS感染重症化リスク高い場合も接種可能。
アブリスボ®:妊婦あるいは60歳以上が対象

参考文献
日内会誌113:2058-2063.2024.
医学のあゆみ Vol.295 No3.214-219.2025.

市中肺炎で使用できる迅速抗原検出検査

肺炎球菌(尿)
レジオネラ(尿)
マイコプラズマ(咽頭ぬぐい液)
インフルエンザウイルス(鼻腔・咽頭ぬぐい液)
SARS-CoV-2(鼻咽頭ぬぐい液)
RSウイルス(咽頭ぬぐい、鼻腔吸引液)
ヒトメタニューモウイルス(咽頭ぬぐい液、鼻腔吸引液)
アデノウィルス(咽頭ぬぐい液、鼻腔吸引液)

市中肺炎のウイルスの関与

市中肺炎におけるウイルスの関与の頻度
細菌単独約37%
細菌+ウイルス約15%
ウイルス単独約9%
検出なし約40%
ウイルス単独は約10%程度で肺炎は基本抗生剤は必要だと思うデータです。

ウイルスの検出頻度は
ライノ/エンテロウイルス約43%
ヒトメタニューモウイルス約18%
インフルエンザウイルス約14%
RSウイルス約10%です

予防にはワクチンが重要です。

参考文献
Miyazaki T et al.Pneumonia 2023;15:16.