上葉優位型肺線維症(PPFE)

PPFEは上肺野に優位な原因不明の緩徐に進行する慢性線維化性間質性肺炎です。胸膜肺実質線維弾性症とも言います。
膠原病や石綿暴露などの基礎疾患がある場合もあります。
特発性肺線維症(IPF)と比較して喫煙者は少ないとされており、KL-6は上昇しないことが多く、SP-Dが上昇することが多いです。
呼吸機能検査ではFVCの著明な低下がありますが、DLCOは比較的保たれます。
胸部CTで両側肺門部の挙上肺尖部や肺尖部の喫状・帯状のコンソリデーションがあればPPFEを疑いますが、診断基準は明確なものは無く、下記に一例(Watanabe K,et al.Respir Investig 2019;57:312-320)を記載します。
①慢性経過の乾性咳嗽もしくは労作時呼吸困難
②HRCT;両側上肺野に優勢な内部に拡張した気管支透亮像を有する胸膜下の多発性コンソリデーション
③胸部X線;両側肺門挙上もしくはHRCTで上葉の容積減少
④画像あるいは組織学的PPFEパターンを有する疾患(慢性過敏性肺炎、膠原病、職業関連疾患、造血幹細胞移植や肺移植関連肺疾患)を否定できる
⑤RV/TLC%pred≧80%
⑥BMI≦20Kg/m2かつRV/TLC%pred.≧80%
上記の①②③④かつ⑤もしくは⑥が満たされればほぼ確実診断。

治療は定まったものはありません。
栄養管理でるい痩の防止と気胸、感染症に注意しての経過観察です。
IPFという病名をつけて抗線維化薬も選択肢には入ります。
PPFEは凄く稀という訳ではなく、頻度は少ないですが時折みかけます。
若年であれば肺移植も検討されますが、それ以外では栄養指導、定期的な画像フォローと必要に応じて在宅酸素療法などを行い経過を見ます。治療効果のある薬剤の出現が待たれますね。

参考文献
日本呼吸器学会 びまん性肺疾患診断・治療ガイドライン作成委員会編.特発性間質性肺炎診断と治療の手引き2022改訂第4版.南江堂

好酸球性肺炎のCT画像

①急性好酸球性肺炎
境界不明瞭な淡い濃度上昇域、すりガラス影、浸潤影が辺縁優位にみられる。
下肺野に優位。
両側胸水も認めることが多い。
小葉間隔壁肥厚もみられる。

②慢性好酸球性肺炎
両肺外側末梢に非区域性のすりガラス影や濃い浸潤影で上中肺野に多い。
胸水はまれで別日に画像を撮影すると陰影の移動を認めることが多い。
小葉間隔壁の肥厚を認めることもある。

サクビトルバルサルタン

アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)はレニン・アンジオテンシン系(RAS)の抑制とcGMPの活性化を機序とする薬剤です。
RASの抑制とcGMPの活性化は両方とも心保護に働きます。

副作用として低血圧、高カリウム血症、腎機能障害、血管浮腫、脱水などがあります。

高血圧と心不全に治療適応がありますが、使用される用量が微妙に異なります。
高血圧では100-400mg/日、心不全では50mg-400mg/日の範囲で調整可能です。

高血圧にも治療適応がある薬で、使用頻度はとても多いですが薬価が高いのが難点です。過降圧になることも時折経験するため注意が必要です。

使用には最新の添付文書の確認が必要です。

ニンテタニブ

ニンテタニブは低分子チロシンキナーゼ阻害薬です。
150mg1日2回を12か月間投与した結果、特発性肺線維症(IPF)患者で以下の結果が得られたとされています。
・努力肺活量(FVC)の低下の抑制効果
・急性増悪の抑制
・健康QOLの維持

ガイドラインでは慢性期のIPF患者への投与を提案するとされています。

50mg1日1回投与でもFVC低下抑制効果や急性増悪の抑制効果は認められています。

導入の目安はFVCの低下があり薬剤の禁忌でなければ適応となります。

使用方法は1回150mgを1日2回ですが、副作用が出現した場合は投与を中断し、治療再開時は1回100mgを1日2回で再開します。
主な副作用は下痢、肝機能障害、悪心・嘔吐です。
下痢は止痢薬や整腸剤、あるいはニンテタニブの減量で対応します。
悪心・嘔吐も対症療法、あるいはニンテタニブの減量で対応します。
肝機能障害はウルソデオキシコール酸で対応し、ASTかALTが基準上限の3倍以上となり黄疸などの症状がでたら中止し再投与は行いません。肝酵素の上昇のみで黄疸などの症状がでなければ減量で対応します。投与開始後は2週間後に、その後も1,2カ月毎に血液検査で肝酵素を観察する必要があります。
その他の副作用として血栓塞栓症、血小板減少、ネフローゼ症候群などが注意が必要です。

治療効果はFVCや肺活量(VC)、6分間歩行試験、DLCO、間質性肺炎マーカーなどで判断していきます。

非常に高価な薬剤であるため、重症度がⅢ~Ⅳであれば難病申請により負担を軽減できます。重症度がⅠ~Ⅱの場合は高額療養費制度で開始が必要となります。12か月に3回以上一定の額を超える月があれば軽症高額としてされに負担が軽減されます。

ニンテタニブはIPFやIPF以外の間質性肺炎でも繊維化が進行していく場合に投与の適応となります。6分間歩行試験を行い重症度をⅠ~Ⅳのいずれかを確認しますが、画像は悪化傾向だけど重症度はⅠという事も多く、費用面で導入できないこともよく経験します。必要であるのに使用できないもどかしさを常に感じながら診療を行っています。

参考文献
久保惠嗣監修;間質性肺疾患診療マニュアル第3版.南江堂.
特発性肺線維症の治療ガイドライン作成委員会編.特発性肺線維の治療ガイドライン2023改訂第2版.南江堂.

薬剤の使用には最新の添付文書の確認が必要です。

認知症による暴力行為

認知症による暴力行為を認めた場合、早急な対策が必要です。
非定型抗精神病薬か抗痙攣薬が選択肢になります。非定型抗精神病は用量は多めで処方されることもあり(例リスペリドン1日8mg分2など)、普段使い慣れていないと処方するのが少し怖いと思います。基本的には少量から開始し増量していく方法が多く、私も少量から始めていきます。カルバマゼピンを1回100mgから開始し効果を見ながら増量していき対応することもあります。
使用される非定型抗精神病薬はクエチアピン、オランザピン、リスペリドン、ペロスピリンがありますが、認知症に対しての保険適応がなく、プラセボと比較して死亡率が上昇する可能性もあり家族に説明したうえで用います。メマンチンや抑肝散も用いることがよくあります。
暴力行為がでる状況の確認も重要で、機嫌が良い時は暴力を振るわないようでいるなら、機嫌がいい時間を増やす様に生活を工夫することも大切です。

参考文献
田平武;かかりつけ医のための認知症診療テキスト改訂第2版.
川畑信也.かかりつけ医・非専門医のための認知症診療メソッド.

心不全の分類

①LVEFによる分類
LVEF≦40% ⇒ HFrEF
LVEF41-19% ⇒ HFmrEF
LVEF≧50% ⇒ HFpEF
LVEFが40%未満から10%以上上昇し40%を超える ⇒ HFimpEF

②心不全の病期による分類
ステージA(心不全リスク)
ステージB(前心不全)
ステージC(症候性心不全)
ステージD(治療抵抗性心不全)

ステージAは高血圧、動脈硬化性疾患、糖尿病、慢性腎臓病、肥満、心筋症家族歴、心毒性物質への暴露(薬剤など)などを有している状態で症状はなくBNPも上昇がありません。かなり多くの方がここに当てはまる状態であると思いますが、この状態で疾患管理を行いステージBに進行しないように心掛ける必要があります。糖尿病にはSGLT2阻害薬、慢性腎臓病にはSGLT2阻害薬とフィネレノンが心不全発症予防に重要です。適応があれば積極的に使用したいです。
ステージBはBNPやNT-proBNPが上昇してきます。BNPは35pg/mL以上、NT-proBNPは125pg/mL以上がステージBへの移行を考えるカットオフ値です。左房拡大や左室拡大などの構造的異常、あるいはLVEFの低下などの機能的異常が見られ始めます。心筋梗塞の既往があるけど心不全に至っていない場合もステージBでありスタチンでの脂質管理が重要です。
ステージCは症候性心不全であり明確に症状がでてき始めます。LVFEに沿って適切な治療を行い、StageDへの移行を遅らせることを目的とします。
ステージDは治療抵抗性心不全です。今までの心不全のイメージと言えばステージCやステージDでしたが、ステージAとBの考え方を用いることで心不全発症の予防に関心を向けることがしやすくなった気がします。ステージAの患者さんには1年に1回ぐらいはBNPやNT-proBNPの測定をしてもいいかもしれません。
昔と比較して新規のエビデンスのある治療薬も出現してきており、導入タイミングを逃さず治療していきたいものです。

参考文献
日本循環器学会/日本心不全学会;2025年改訂版 心不全診療ガイドライン.

原発性骨粗鬆症の薬物開始基準

脆弱骨折ありで椎体骨折または大腿骨近位部骨折→薬物治療開始
その他の脆弱骨折がありYAM値の80%未満→薬物治療開始

脆弱骨折がないがYAM値の70%以下または-2.5SD以下→薬物治療開始

脆弱骨折がなくYAM値の70%以上かつ80%未満でFRAX®15%以上(75歳未満の場合にのみこの適応は使用できる)→薬物治療開始
脆弱骨折がなくYAM値の70%以上かつ80%未満で大腿骨近位部骨折家族歴+→薬物治療開始

参考文献
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会編;骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版.

FRAX®

FRAX®は骨折リスク評価ツールでWeb上で利用可能で今後10年間の骨折リスクを計算できます。

必要な情報は下記です。
大腿骨近位部骨密度

年齢、性別、身長、体重
既存骨折
両親の大腿骨近位部骨折歴
喫煙、飲酒
ステロイド使用の有無
関節リウマチの有無
続発性骨粗鬆症の有無

FRAX®が15%以上だと骨折ハイリスクと判断します。


糖尿病があると骨質劣化や低血糖による転倒などもあると思いますが、上記のリスクには含まれておりません。FRAX®以外にも様々な要素を考える必要があるかもしれません。

骨代謝マーカー

①骨吸収マーカー
血清;NTX,CTX,TRACP-5b
尿;DPD,NTX,CTX

②骨形成マーカー
血清;BAP,P1NP

③骨マトリックス関連マーカー
血清;ucOC(低カルボキシル化オステオカルシン)

骨吸収抑制薬を使用する場合はTRACP-5bやNTXの測定が推奨されますが、6カ月に1回はBAP、P1NPの測定が推奨されます。

骨形成促進薬を使用する場合はP1NPが推奨されます。

ビタミンK2薬を使用する場合はucOCが推奨されます。
骨代謝マーカーは治療開始前と開始後6カ月以内にそれぞれ1回のみ保険適応です。

参考文献
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成員会編;骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版.

糖尿病の臨床的骨折リスク因子

・糖尿病罹患歴が10年以上
・インスリン使用
・HbA1c7.5%以上
・閉経後女性のチアゾリジン使用
・喫煙
・転倒リスクが高い状態
・サルコペニアの合併
・重症低血糖が危惧される薬剤使用

参考文献
生活習慣病骨折リスクに関する診療ガイド. 2019年版.