原発性骨粗鬆症の薬物開始基準

脆弱骨折ありで椎体骨折または大腿骨近位部骨折→薬物治療開始
その他の脆弱骨折がありYAM値の80%未満→薬物治療開始

脆弱骨折がないがYAM値の70%以下または-2.5SD以下→薬物治療開始

脆弱骨折がなくYAM値の70%以上かつ80%未満でFRAX®15%以上(75歳未満の場合にのみこの適応は使用できる)→薬物治療開始
脆弱骨折がなくYAM値の70%以上かつ80%未満で大腿骨近位部骨折家族歴+→薬物治療開始

参考文献
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会編;骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版.

FRAX®

FRAX®は骨折リスク評価ツールでWeb上で利用可能で今後10年間の骨折リスクを計算できます。

必要な情報は下記です。
大腿骨近位部骨密度

年齢、性別、身長、体重
既存骨折
両親の大腿骨近位部骨折歴
喫煙、飲酒
ステロイド使用の有無
関節リウマチの有無
続発性骨粗鬆症の有無

FRAX®が15%以上だと骨折ハイリスクと判断します。


糖尿病があると骨質劣化や低血糖による転倒などもあると思いますが、上記のリスクには含まれておりません。FRAX®以外にも様々な要素を考える必要があるかもしれません。

骨代謝マーカー

①骨吸収マーカー
血清;NTX,CTX,TRACP-5b
尿;DPD,NTX,CTX

②骨形成マーカー
血清;BAP,P1NP

③骨マトリックス関連マーカー
血清;ucOC(低カルボキシル化オステオカルシン)

骨吸収抑制薬を使用する場合はTRACP-5bやNTXの測定が推奨されますが、6カ月に1回はBAP、P1NPの測定が推奨されます。

骨形成促進薬を使用する場合はP1NPが推奨されます。

ビタミンK2薬を使用する場合はucOCが推奨されます。
骨代謝マーカーは治療開始前と開始後6カ月以内にそれぞれ1回のみ保険適応です。

参考文献
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成員会編;骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版.

糖尿病の臨床的骨折リスク因子

・糖尿病罹患歴が10年以上
・インスリン使用
・HbA1c7.5%以上
・閉経後女性のチアゾリジン使用
・喫煙
・転倒リスクが高い状態
・サルコペニアの合併
・重症低血糖が危惧される薬剤使用

参考文献
生活習慣病骨折リスクに関する診療ガイド. 2019年版.

過敏性肺炎のCTパターン

①非繊維性過敏性肺炎

・Typical HP(HPを示唆するHTCT所見)
前提は肺野病変+細気管支病変
肺野病変;すりガラス陰影、モザイクパターン
細気管支病変;境界不明瞭な小葉中心性粒状影、呼気CTでのair trapping
分布;頭尾方向にびまん性で肺底部がスペアされる(保たれる、病変が乏しい)ことがある。水平方向にもびまん性。

・Compatible with HP(Typicalに該当しないがHPにおいて報告されている非線維化性HRCT所見)
前提は肺野病変のみ
肺野病変;均質で軽微なすりガラス影、コンソリデーション、薄壁嚢胞散在
分布;頭尾方向にびまん性だが下肺野優位の場合もあり。水平方向にもびまん性だが気管支血管束優位の場合もあり

注意点として2021年のCHESTのガイドラインでは分布の違いは考慮されておらず、分布が非典型的でも疾患否定はできません。

②繊維性過敏性肺炎

・Typical HP(HPを示唆するHTCT所見)
前提は構造改変を伴う線維化所見(不整な線上影や網状影)+細気管支病変
線維化所見;分布はランダム、中肺野優位、比較的肺底部がスペアされる。蜂巣肺や牽引性気管支拡張もある場合があるが主体ではない。
細気管支病変;境界不明瞭な小葉中心性粒状影やすりガラス影、モザイクパターン、three density patternあるいはair trapping

・Compatible with HP(Typicalに該当しないが細気管支病変を併存するもの)
Typicalとは異なる肺の線維化病変;UIPパターン、広範なすりガラス影と軽度の線維化病変。
分布;水平方向に中枢や気管支血管束周囲、胸膜下優位、頭尾方向に上肺野優位
細気管支病変;境界不明瞭な小葉中心性粒状影やすりガラス影、モイクパターン、three density patternあるいはair trapping

・Indeterminate for HP(TypicalにもCompatibleにも該当しない線維化病変)
前提は肺の線維化病変単独
UIPパターン、NSIP+OPパターン、Truly indeterminate HRCTパターン。

肺野と細気管支病変を認めたら過敏性肺炎を疑うことが重要です。過敏性肺炎は思っている以上によくみかけます。CTを撮影し異常陰影があったら常に頭に入れておきたい疾患です。

参考文献
日本呼吸器学会 過敏性肺炎診療指針2022作成委員会編;過敏性肺炎診療指針2022

グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症

グルココルチコイドは様々な疾患で使用されるが、骨粗鬆症への影響は無視できません。
生体内ではプレドニゾロン(PSL)換算で2-2.5mgのコルチゾールが産生されるため、少しのPSL内服でも生体にとっては影響が大きいとされています。
どれくらいかというと、PSL1mg/日の投与でも骨粗鬆症のリスクは増大するほどです。
グルココルチコイド誘発性って長い名前だなと思っていましたが、ステロイドには骨粗鬆症のリスクにはならないエストロゲンやアンドロゲンなども含まれてしまうからステロイド誘発性ではなくグルココルチコイド誘発性と言っているらしいです。

グルココルチコイドを使用する場合の骨粗鬆症予防の治療を開始する基準は3か月以上薬を継続するか、18歳以上かどうかです。18歳以上で3か月以上使用しているか今後使用する場合は、リスク因子を点数化して3点以上であれば治療を開始します。3点未満であれば定期的な経過観察で定期的なスコアの見直しが必要です。治療は一般的な骨粗鬆症とほぼ同様でビスホスホネート製剤や抗RANKL抗体、SERM、活性化ビタミンD、PTH受容体作動薬を用います。リスク因子は下記です。

既存骨折          なし0点、あり7点
年齢            50歳未満0点、50-65未満 2点、65歳以上4点
PSL換算(/日)での投与量  5mg未満0点、5-7.5mg未満1点、7.5mg以上4点
骨密度(%YAM)       80以上0点、70~80未満2点、70未満4点

グルココルチコイドはサルコペニア、心血管障害、脳血管障害のリスクともなるため注意が必要な薬剤ですが、日常診療では必須の薬でよく使用されます。
常に最小限の容量を意識して診療が必要です。

参考文献
日本骨代謝学会 グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症の管理と治療のガイドライン作成委員会編:グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症の管理と治療のガイドライン2023.南山堂.



急性腎障害(AKI)の原因疾患

①腎前性
体液量・有効循環血漿量の減少;下痢や嘔吐、出血、急性膵炎、肝硬変、ネフローゼ症候群、利尿薬、尿崩症など
心拍出量減少;心不全、不整脈、肺塞栓症
末梢血管の拡張;敗血症、アナフィラキシーショック、降圧薬
腎動脈閉塞・狭窄;大動脈解離、腎動脈血栓
腎血管の収縮;肝腎症候群、NSAIDs、シクロスポリン、タクロリムス
輸出動脈の拡張;ACE阻害薬、ARB

②腎性
血管障害;結節性多発動脈炎、強皮症、悪性高血圧、溶血性尿毒症性症候群、血栓性血小板減少性紫斑症、抗リン脂質抗体症候群、コレステロール塞栓症
糸球体障害;急速進行性糸球体腎炎、急性糸球体腎炎
急性間質性腎炎;薬剤アレルギー、急性腎盂腎炎
急性尿細管障害;腎前性の長期持続、アミノグリコシド、ヨード造影剤、横紋筋融解症、溶血、蛋白性尿細管閉塞、血漿性尿細管閉塞

AKIの精査で腎臓癌を経験したこともあるためそれも鑑別に入ると思います。

③腎後性
後腹膜線維症、悪性腫瘍、前立腺肥大症、前立腺がん、神経因性膀胱、尿胃管結石、尿肝腫瘍

参考文献
AKI治療の実際.阿部雅紀編.日本医事新報社

骨形成促進薬

①副甲状腺ホルモン製剤
テリパラチド(フォルテオ®、テリボン®)
:週1回 56.5μg 皮下注
または;1日1回 20μg 皮下注
テリパラチドの投与期間は24カ月

②副甲状腺ホルモン関連蛋白製剤
アバロパラチド(オスタバロ®);1日1回 80μg 皮下注
アバロパラチドの投与期間は18カ月

③ロモソズマブ(イベニティ®)
月1回 210mg 皮下注
ロモソズマブの投与期間は12か月

使用には最新の添付文書の確認が必要です。

骨吸収抑制薬

①SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)
ラロキシフェン(エビスタ®);1日1回 60mg1T分1 経口投与
バゼドキシフェン(ビビアント®);1日1回 20mg1T分1 経口投与 胆汁排泄のため腎障害でも使用可能

SERMは深部静脈血栓症、肺塞栓症、網膜静脈血栓症の既往がある場合禁忌。
DVTリスクのため長期不動状態でも禁忌。

②ビスホスホネート製剤
アレンドロン酸(ボナロン®、フォサマック®)
;1日1回 5mg 1T分1 経口投与
または;週1回 35mg 1T分1(ゼリー製剤あり)
または;点滴静注 4週毎 1回 900mg

リセドロン酸(ベネット®、アクトネル®)
;1日1回 2.5mg 1T分1 経口投与
または;週1回 17.5mg 1T分1 経口投与
または;月1回 75mg 1T分1 経口投与

ミノドロン酸(リカルボン®、ボノテオ®)
;1日1回 1mg 1T分1 経口投与
または;4週毎 50mg 1T分1 経口投与

イバンドロン酸(ボンビバ®)
;月1回 100mg 1T分1 経口投与
または;点滴静注 月1回  1mg

ゾレドロン酸(リクラスト®);点滴静注 年1回 5mg

エチドロン酸(ダイドロネル®);1日1回 200mgを2週間経口投与しその後10-12週の休薬を行う。

ビスホスホネート製剤投与後はインフルエンザ様の症状がでる急性期反応を来すことがあるが対症療法で良く再発は少ない。
内服薬は起床時(空腹時)水約180mLとともに内服。内服後は30分は横にならず水以外の飲食や内服は避ける(イバンドロン酸は60分)。
薬剤関連顎骨壊死、非定型大腿骨骨折が副作用として重要。

③抗RANKL抗体
デノスマブ(プラリア®);皮下注射 6カ月毎60mg
低Ca血症に注意が必要で投与1週間後とそれ以降は数か月に1度は血液検査を確認する。
薬剤関連顎骨壊死、非定型大腿骨骨折が副作用として重要。

必ず最新の添付文書を確認して使用が必要です。