アトピー咳嗽は咳感受性が亢進した好酸球性気道炎症です。中枢気道に好酸球性の炎症がありますが、FeNOは上昇しません。咳喘息と同様に起床時や就寝時に多く、咽喉頭掻痒感を伴うこともあります。エアコンやたばこの煙、会話、運動などで誘発されます。気道平滑筋の収縮で生じるものではありません。気道過敏性がなく気管支拡張薬やLTRAが無効です。2週間程度短時間作用型気管支拡張薬を定期吸入(メプチン®などを1日3-4回、1回2吸入)し効果があればアトピー咳嗽ではなく咳喘息を疑います。
吸入ステロイド薬やヒスタミンH1受容体拮抗薬が有効とされています。
診断は喘息や呼吸困難を伴わない乾性咳嗽が3週間以上続く、気管支拡張薬が無効、アトピー訴因あり、ヒスタミンH1受容体拮抗薬かステロイド薬で咳嗽が消失することを全て満たす必要があります。長期治療は不要とされています。
このアトピー咳嗽は、正直診療で確定できることは私は少ないです。喉がいがいがして咳嗽がでるということを訴える患者さんはかなり多いですが、そういった患者さんにヒスタミンH1拮抗薬や吸入ステロイド、気管支拡張薬を全て併用して処方しても改善ないことが結構あります。GERDを疑ってPCABを併用しても咳嗽が持続する患者さんも多いです。私はアトピー咳嗽を疑って治療し効果があれば儲けものぐらいの気持ちで診療していますが、改善ないことが多いのでその他の疾患を考えながら日々外来を行っています。
参考文献
最新呼吸器内科・外科学.メディカルレビュー社.2019.
卒後15年目の総合内科医の診断術.石井義洋.中外医学社.2019.
Kita T et al.Allergol Int 2010;59:185-192.
