原発性アルドステロン症(PA)

血中アルドステロン濃度が高値の時は原発性アルドステロン症と続発性アルドステロン症を鑑別しますが、今回は原発性アルドステロン症について記載します。

原発性アルドステロン症は副腎からの自律的なアルドステロンの分泌と血漿レニン活性の低値が特徴とされる疾患です。低K血症を認め血圧高値なら疑いやすいですが、75%はK正常であるため、低K血症がなくても高血圧というだけで疑った方が良いと思います。高血圧の患者さんで精査してPAということは良く経験します。循環血漿量は増加しますが、浮腫は伴いません(アルドステロンエスケープ)。脳心血管障害の発症率が本態性高血圧より高いとされており、適切な診断と管理が大切です。

治療は片側病変であれば手術(腹腔鏡下副腎摘出術)が可能ですが、両側性であれば薬物療法がメインとなります。私は内科医であるため、薬物治療しか経験はありませんが、よくみるコモン疾患です。

午前中に安静座位30分後に血液検査を行い、血漿アルドステロン濃度(PAC)/血漿レニン活性(PRA)の比であるARRを求めます。これが200以上、かつPACが60pg/mL以上でスクリーニング陽性とします。ARRではなくPA/血漿活性型レニン濃度(ARC)の比を用いてスクリーニングすることもあり、こちらは40以上が必要です。ただしARRが100-200の間はARR境界域とされており、その際もPACが60pg/mL以上あれば暫定陽性とできます。

このスクリーニング検査を行う場合、すでに降圧薬を内服している場合、

MR拮抗薬;4週間以上

β遮断薬、利尿薬、ARB/ACE阻害薬;2週間以上

上記の休薬期間が必要です。Ca拮抗薬、α遮断薬は休薬しないで大丈夫です。

また、レニン活性は脱水や塩分制限している場合は上昇傾向を示し、高齢者や慢性腎臓病の場合は低値となることがあり解釈には注意が必要です。

今まで記載した検査はスクリーニング検査です。これでひっかかる場合、機能確認検査を行います。機能確認検査には

があります。以前は機能確認検査で2種類が陽性で診断としていましたが、現在では1種類で大丈夫です。ただし、低カリウム血症を認め、PACが100pg/mL以上でレニンが検出限界以下という3つの項目全て満たした場合は、機能確認検査なしでPAと診断できます。

副腎腺腫の確認のために腹部CTを行いますが、小さい腫瘍はCTで同定できず、腫瘍があったとしてもそれが非機能性であることもあるため、診断には副腎静脈サンプリング(AVS)が必要です。ただしAVSは侵襲性が高いため、副腎摘出を検討しない場合はAVSを行わず治療を行います。手術適応や患者さんの希望を確認してから検査適応を考える必要があります。副腎偶発腫はよく見かけるため、そちらからアプローチしてPAを診断することもあると思いますが、私はそれでPAとひっかかったことはあまりありません

午後の外来で高血圧の主訴で来た場合は、降圧が必要な数値である場合は降圧を優先します。Ca拮抗薬やα遮断薬を処方し、後日血液検査を行った後にARBなどを追加していくのが現実的かなと思います。

PA治療では、高アルドステロン血漿、低カリウム血漿、高血圧の改善を目標に行います。手術を行わない場合はMR拮抗薬をメインに行います。MR拮抗薬を調整しコントロール良好となれば、本態性高血圧患者と脳心血管病のリスクは同等となるとされているため、手術しないこともよくあります。MR拮抗薬には

  • スピロノラクトン
  • エプレレノン
  • エサキセレノン

があります。

スピロノラクトンは女性化乳房や月経不順の副作用があります。エプレレノンやエサキセレノンはカリウム製剤投与患者では禁忌となっており、薬剤選択は患者さんの背景をみて決める必要があります。私はアルドステロン症の薬物治療を行う機会は比較的多いですが、レニンの低値を改善するには以外と薬剤を増やしたり、増やしても低値が持続することが多いなぁ・・・と思いながら治療を行っています。

参考文献)

高血圧管理・治療ガイドライン2025.日本高血圧学会.

内分泌代謝科専門医研修ハンドブック.日本内分泌学会

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