Addison病

副腎皮質機能低下症とは、副腎皮質ホルモンが低下した病態のことです。原発性、続発性、医原性に分類されます。原発性は副腎そのものに病変がある場合で、視床下部や下垂体に病変がある場合は続発性です。原発性には先天性である先天性副腎皮質過形成やACTH不応症があり、後天性には自己免疫性や結核、AIDSなどの感染性のものなどがあります。この原発性で後天性のものを発見者の名にちなんでAddison病と言います。ここら辺の概念は国家試験で勉強して以来であり、学生時代はあまり成績も良くなかったので改めて勉強してみるとスッキリ理解できました。学生時代は希少疾患は苦手で、勉強意欲もあまりなかったですが、実際の臨床では希少疾患もよく目すると実感します。

Addison病はコルチゾール、アルドステロン、アンドロゲンの欠乏をきたします。自己免疫性はMEN1型やMEN2型で発症しますが、孤発性も認めます。ACTH増加のため色素沈着を認めることがあります。色素沈着はひたすら画像を見て覚えるしかなさそうです。

診断は早朝ACTHとコルチゾールを測定します。

コルチゾールのカットオフ値は、

  • 4μg/dL未満で副腎不全の可能性が高い
  • 4-18μg/dLで副腎不全を否定できない
  • 18μg/dL以上で副腎不全を否定できる

とされています。迅速ACTH負荷試験を行いそれで18μg未満ならCRH負荷試験をさらに行い、診断を勧めていきます、負荷試験は以前私が勤務していた病院では医師が採血するという決まりがありました。大きな病院での謎ルールは医療の妨げになっているとつくづく思いましたが、医師が余っている病院ならではでしょうか。別の医師不足の地域で勤務した際は他職種の協力が得られやすく、自分にはそっちの方があっていたなと今では思います。

ACTHは高値ならAddison病をより疑い、低値なら続発性を疑います。

治療はヒドロコルチゾンを用います。これはヒドロコルチゾンが生理的なものに近いためです。Addison病では生涯内服を継続する必要があり、中断しないことが重要です。診断された患者さんを引き継いでみるときは、薬を中断しないこととシックデイの時に通常量の2-3倍の内服が必要ということを忘れないように注意が必要そうです。

参考文献)

日本内分泌学会;内分泌代謝科専門医研修ガイドブック.

成人GH分泌不全症

成人GH分泌不全症はGH分泌低下により肥満や脂質異常症、情緒不安やスタミナ低下などの症状をきたすとされています。小児期発症し持続している場合と成人発症の場合があります。GH分泌不全症は小児の疾患のイメージがありましたが、成人もあるんですね。

原因疾患では下垂体腺腫が最多で、特発性や下垂体炎、Sheehan症候群などがあります。年間1200人程度の発症があるとされています。相当少ないですね。

検査所見では脂質異常症や耐糖能異常、非アルコール性脂肪性肝疾患などが指摘されます。脂肪性肝疾患は肥満が多いですが、肥満でなくても認めることがあります。薬剤や低栄養という訳ではなく、原因なんだろうなと思いながら外来でフォローしている患者さんは時折おりますが、そういう場合はGHを一度調べてみても良いと思いました。

GHは脈動的分泌されるホルモンであるため、基礎値のみでの判断ができずGH分泌刺激試験が必要となります。GH分泌刺激試験にはいくつか種類があります。

  • インスリン低血糖刺激試験
  • アルギニン負荷試験
  • グルカゴン負荷試験
  • 成長ホルモン放出ペプチド-2試験

IGF-Iは日内変動が少なくGH分泌の指標としてい用いられますが、低下がなくても疾患を否定はできません。

つまり本疾患を診断するには分泌刺激試験を行わなければならず、その前の段階では身体所見や病歴で疑わないといけません。分泌刺激試験を実施できる施設は限られており、病歴のみで疑って紹介は結構ハードル高い気がします。

診断の手引きを見ながら、初診で来院されたらどうやって疑ったらいいか考えてみました。鬱病と言われたけど治らない、疲れやすくなって他院で検査調べたけど何もないと言われた、などの今までいくつか病院を受診した状態なら少しは疑うかもしれません。初診でいきなり来たら、診断は難しい気がします。1発で診断してみたいですね。

参考文献)

1)Abs R,et al.Clinical Endocrinology 1999.

副腎クリーゼ(急性副腎不全)

本日は副腎クリーゼについて勉強します。

副腎クリーゼはグルココルチコイドの急激な欠乏によって生じる病態とされています。

絶対的な欠乏だけでなく、相対的な欠乏でも生じます。

慢性副腎不全の患者さんに感染や手術などのストレスが加わった場合やステロイド長期内服中の患者さんの急なステロイド減量や中止で生じます。心理的ストレスでも生じることがあるみたいです。ストレスは様々な疾患に関係していますが、実際の診察ではストレスだと思っても患者さんに否定されることも多く、難しいですね。

この感染症とは胃腸炎が最も多いとされています。胃腸炎の患者さんは多いですが、その中に副腎不全が紛れていると考えると怖いですね。ただよっぽどなことがない限り胃腸症状で未診断の副腎不全を疑うのは難しい気がします。症状は脱水や低血糖、嘔気・嘔吐、下痢、腹痛、食欲低下、体重減少、低血圧、意識障害などがあります。血液検査では低Na血症、高K血症、高Ca血症、貧血、好酸球増多などを認めることがあります。好酸球増多や低Na血症は有名ですが、貧血も起きるんですね。。。その他発熱、筋肉痛、関節痛も来すことがあるようですが、特異的な症状はほぼなさそうです。普段の外来では低Na血症単独あるいは低K血症単独であることはよく見かけますが、両方そろってることはあまりないなあと記載していて思いました。高齢な患者さんで入院している状況であれば見かける数値かもしれませんが、両方そろったときは副腎不全を忘れないようにしたいですね。

また、ステロイドの減量中に時折嘔気や倦怠感を訴える患者さんはおりますがそういった際もステロイドをもとの量に戻すと改善することは時折経験します。外来だとそういった症状があっても次の予約までまつ患者さんもいますし、それで悪化するということもないのでそういった場合はクリーゼではないと思います。ただそういった状態で胃腸炎などにかかったらまずいかも知れません。

診断はACTHとコルチゾールを検査し、状態が悪い時にコルチゾールが5μg/dL未満であれば強く疑いますが、明確な基準値は設定されておりません。なのでコルチゾールのみで診断するのではなく、その他の症状の合致具合と他疾患否定が重要そうです。

実際の臨床では疑った時点でヒドロコルチゾンを投与する必要があります。

慢性副腎不全がすでに診断されている患者さんはシックデイなどの状況では普段の内服量の1.5-3倍程度を内服する必要があります。

参考文献)

内分泌代謝科専門医研修ガイドブック.日本内分泌学会.

先端巨大症・下垂体性巨人症

先端巨大症・下垂体性巨人症は成長ホルモンの過剰による異常発育及び代謝異常を呈する疾患です。97%が下垂体腺腫が原因で、同時にプロラクチンも分泌されることもあります。発症時期が骨端線の閉鎖前なら下垂体性巨人症、閉鎖後なら先端巨大症となります。男子なら15歳頃、女子は13歳頃が骨端線閉鎖の時期です。骨端線が閉鎖する前であれば身長の成長があるため下垂体性巨人症は身長が高いですが、先端巨大症では身長はそれほど高くはなりません。年間発症率は100万人あたり3-5人程度とされています。

症状は成長ホルモンとIGF-Iによる症状と下垂体腺腫による局所症状を分けて考えます。

ホルモンによって手足の容積の増大や下顎突出などの容姿の変化が生じ、下垂体腺腫によって視交叉が圧迫されると視力や視野に障害が生じることもあります。

成長ホルモンの影響で糖尿病や高血圧、脂質異常症を呈することもあります。閉塞性睡眠時無呼吸症候群も合併しやすいです。心肥大や冠動脈疾患、悪性腫瘍(大腸癌、乳癌、甲状腺がん)が死因として大切です。

顔貌変化と手足の容積増大はほとんどの症例で見られます。女性では月経異常を伴うこともあります。

先端巨大症を早期発見はできるのでしょうか。顔貌変化を本人が気づけば精査するかもしれません。ただ、先端巨大症様顔貌の画像をネットで検索して色々見てみましたが、顔だけだと普通にいるのではと思ってしまうようなものもありました。。発汗過多を70%程度に認めるため、発汗過多の場合は甲状腺のみではなくこの疾患も頭に入れた方が良いかもしれません。

診断はホルモン異常の証明と下垂体腺腫の証明です。

症状で本疾患を疑ったらスクリーニング検査としてホルモンを検査します。

この疾患に関係する主なホルモンは成長ホルモンとIGF-I(インスリン様成長因子I)です。

成長ホルモンは脈動的分泌で変動が大きいですが、IGF-Iは変動が少なく、スクリーニングや疾患活動性に有用です。この2種類をスクリーニング検査で提出します。

画像検査ではCTやMRIで下垂体腺腫の証明が必要です。

診断基準は主徴候と検査所見を両方満たす例です(島津 章,他:先端巨大症及び下垂体性巨人症の診断と治療の手引き.2015.)。

Ⅰ主徴候

  • 手足の容積増大
  • 先端巨大症様顔貌
  • 巨大舌

Ⅱ検査所見

  • 成長ホルモン分泌の過剰(血中成長ホルモン値がブドウ糖75g経口投与で正常域まで制限されない)
  • 血中IGF-I高値
  • MRIかCTで下垂体腺腫を認める

Ⅲ)副徴候及び参考所見

  • 発汗過多
  • 頭痛
  • 視野障害
  • 女性における月経異常
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 耐糖能異常
  • 高血圧
  • 咬合不全
  • 頭蓋骨及び手足の単純X線の異常

診断基準を見ると、血液検査は普段成長ホルモンやIGF-Iをとる機会は無いと思われるます。副徴候もよく見るものが並んでおり、特異的なものは無さそうです。やはり顔貌+手足の状態が大切そうです。

治療は手術が第一選択で適応がなければオクトレオチドの徐放性剤、ブロモクリプチンやカベルゴリン、定位放射線治療などが選択肢となります。疾患頻度も少ないため、ここらへんは一般内科医が介入する機会はないと思います。早期診断と治療でその後の合併症や可逆的な臨床症状を軽減されるために、見逃さないようにしたいですね。

(参考文献)

間脳下垂体機能障害の診断と治療の手引き,日内分泌会誌95.2019.

生理食塩水負荷試験

生理食塩水は原発性アルドステロン症の機能確認検査の1つです。

心機能、腎機能低下例では行えません。

生理食塩水を4時間かけて2L点滴静注し負荷後のPACが60pg/mL以上で陽性とします。

負荷が強いため心不全などのリスクがあるため入院しながら行います。

午前中安静臥位30分で採血→生理食塩水2L/4時間→安静臥位30分で採血→PAC確認といった手順です。

経口食塩負荷試験

経口食塩負荷試験は原発性アルドステロン症の機能確認検査の1つです。

NaCl負荷を3日間行い、その後24時間蓄尿を行い尿中アルドステロンが6μg/日以上で陽性とします。NaCl負荷は食塩10-12g/日を3日間連続で行います。

食塩12g/日を3日間→4日目に24時間蓄尿といった流れです。

上記は入院での流れです。この検査が外来でも行えます。

その際は、食塩負荷は行いません。食事制限などはなく3日間過ごしてもらい、4日目に24時間蓄尿を行い尿中Naが170mEq/日以上でその際の尿中アルドステロンが8μg/日であれば陽性とします。

フロセミド立位負荷試験

フロセミド立位負荷試験は原発性アルドステロン症の機能確認検査の1つです。

フロセミド40mgを静注し2時間立位後のPRAが20ng/mL/時以下で陽性とします。

午前中に30分安静臥位で採血→フロセミド40mg静注→2時間立位(歩行可能)→座位で採血といった流れです。立位が基本ですが、トイレの際の座位は可能です。

2時間立位は結構つらいと思います。

カプトプリル負荷試験

カプトプリル負荷試験は原発性アルドステロン症の機能確認検査の1つです。

カプトプリル50mgを経口を投与しARRが200以上で陽性とします。血圧低下に注意が必要です。

カプトプリルはACE阻害薬です。内服するとレニンが上昇、アルドステロンが低下します。しかし原発性アルドステロン症ではアルドステロンの自立性分泌があるためアルドステロンが低下せず、レニンの上昇もないです。このことを確認する検査で外来で実施できます。

やり方は、外来で午前中に行います。まず安静臥位採血でARRを提出し、カプトプリル内服し60-90分後に再度安静臥位採血を行うだけです。安静臥位は30分が理想ですが、外来のベッドの状況も考慮する必要があります。最低15分は安静臥位にして採血が望ましいです。

原発性アルドステロン症(PA)

血中アルドステロン濃度が高値の時は原発性アルドステロン症と続発性アルドステロン症を鑑別しますが、今回は原発性アルドステロン症について記載します。

原発性アルドステロン症は副腎からの自律的なアルドステロンの分泌と血漿レニン活性の低値が特徴とされる疾患です。低K血症を認め血圧高値なら疑いやすいですが、75%はK正常であるため、低K血症がなくても高血圧というだけで疑った方が良いと思います。高血圧の患者さんで精査してPAということは良く経験します。循環血漿量は増加しますが、浮腫は伴いません(アルドステロンエスケープ)。脳心血管障害の発症率が本態性高血圧より高いとされており、適切な診断と管理が大切です。

治療は片側病変であれば手術(腹腔鏡下副腎摘出術)が可能ですが、両側性であれば薬物療法がメインとなります。私は内科医であるため、薬物治療しか経験はありませんが、よくみるコモン疾患です。

午前中に安静座位30分後に血液検査を行い、血漿アルドステロン濃度(PAC)/血漿レニン活性(PRA)の比であるARRを求めます。これが200以上、かつPACが60pg/mL以上でスクリーニング陽性とします。ARRではなくPA/血漿活性型レニン濃度(ARC)の比を用いてスクリーニングすることもあり、こちらは40以上が必要です。ただしARRが100-200の間はARR境界域とされており、その際もPACが60pg/mL以上あれば暫定陽性とできます。

このスクリーニング検査を行う場合、すでに降圧薬を内服している場合、

MR拮抗薬;4週間以上

β遮断薬、利尿薬、ARB/ACE阻害薬;2週間以上

上記の休薬期間が必要です。Ca拮抗薬、α遮断薬は休薬しないで大丈夫です。

また、レニン活性は脱水や塩分制限している場合は上昇傾向を示し、高齢者や慢性腎臓病の場合は低値となることがあり解釈には注意が必要です。

今まで記載した検査はスクリーニング検査です。これでひっかかる場合、機能確認検査を行います。機能確認検査には

があります。以前は機能確認検査で2種類が陽性で診断としていましたが、現在では1種類で大丈夫です。ただし、低カリウム血症を認め、PACが100pg/mL以上でレニンが検出限界以下という3つの項目全て満たした場合は、機能確認検査なしでPAと診断できます。

副腎腺腫の確認のために腹部CTを行いますが、小さい腫瘍はCTで同定できず、腫瘍があったとしてもそれが非機能性であることもあるため、診断には副腎静脈サンプリング(AVS)が必要です。ただしAVSは侵襲性が高いため、副腎摘出を検討しない場合はAVSを行わず治療を行います。手術適応や患者さんの希望を確認してから検査適応を考える必要があります。副腎偶発腫はよく見かけるため、そちらからアプローチしてPAを診断することもあると思いますが、私はそれでPAとひっかかったことはあまりありません

午後の外来で高血圧の主訴で来た場合は、降圧が必要な数値である場合は降圧を優先します。Ca拮抗薬やα遮断薬を処方し、後日血液検査を行った後にARBなどを追加していくのが現実的かなと思います。

PA治療では、高アルドステロン血漿、低カリウム血漿、高血圧の改善を目標に行います。手術を行わない場合はMR拮抗薬をメインに行います。MR拮抗薬を調整しコントロール良好となれば、本態性高血圧患者と脳心血管病のリスクは同等となるとされているため、手術しないこともよくあります。MR拮抗薬には

  • スピロノラクトン
  • エプレレノン
  • エサキセレノン

があります。

スピロノラクトンは女性化乳房や月経不順の副作用があります。エプレレノンやエサキセレノンはカリウム製剤投与患者では禁忌となっており、薬剤選択は患者さんの背景をみて決める必要があります。私はアルドステロン症の薬物治療を行う機会は比較的多いですが、レニンの低値を改善するには以外と薬剤を増やしたり、増やしても低値が持続することが多いなぁ・・・と思いながら治療を行っています。

参考文献)

高血圧管理・治療ガイドライン2025.日本高血圧学会.

内分泌代謝科専門医研修ハンドブック.日本内分泌学会

高血圧

高血圧は家庭血圧で135/85mmHg以上の場合に診断します。家庭血圧115/75未満が正常血圧で高血圧と正常血圧の間は値によって正常高値血圧、高値血圧となります。収縮期血圧と拡張期血圧が異なる分類にまたがるときは、高い方の分類として判定します。正常血圧って結構ハードル高いなと思います。

高血圧は脳卒中や冠動脈疾患の最大のリスク因子です。120/80mmHg未満で全年齢で死亡リスクが低いとされており、この関連は拡張期血圧よりも収縮期血圧でより強いとされています。また、CKDや心不全、心房細動の発症のリスク因子でもあります。診察室血圧120/80mmHg以上では心血管疾患の発症率が増加します。私は運動をして標準体型であったときは120mmHgぐらいでしたが、今年の検診では140mmHgを超えていたの高血圧と診断されます。

高齢の場合は関連がはっきりしませんが、中年期の場合は認知症のリスクとなりうるとされています。血圧の文献を見るときは診察室血圧なのか家庭血圧なのかの測定条件に注意が必要です。家庭血圧でも測定に幅があるので、毎日なるべく同じ時間で図るのが理想です。毎日きちんと測定して血圧手帳をもってきてくださる患者さんがいますが、凄いなと思います。なかなか習慣付けるのは難しいです。

血圧には日内変動があります。血圧測定は朝と夜に推奨されておりますが、朝が高く夜が10-20%程度低くなるのが正常でdipperと言います。夜間血圧低下が20%以上下がる場合をextreme-dipper、0-10%未満がnon-dipperです。夜が上昇する場合はriserと言います。Dipper以外は脳心血管障害のリスクが上昇します。閉塞性睡眠時無呼吸症候群は二次性高血圧の代表疾患ですが、non-dipperやriserを示すことが多く、無呼吸後に血圧サージがみられ、睡眠時無呼吸症候群の高血圧はAHIより酸素飽和度低下指数(ODI)が関連しているとされています。ガイドラインを読んでいると知らないことが色々でています。睡眠時無呼吸症候群の治療中はAHIや使用率しか患者さんに説明していなかったのですが、ODIも今後説明するようにしようと思います。dipperの方もよく見かけますが、睡眠時無呼吸症候群のチェックもするようにしないといけませんね。

高血圧の有病率は女性では低下傾向ですが、男性ではあまり変わりないようです。ちなみに肥満の割合も男性が増加していますが、女性では増加していないようです。女性は凄いですね。

食塩摂取量が高くなると血圧は上がり、摂取量を減らすと血圧は低下します。私は普段はあまり塩分を意識することがないのですが、コンビニなどでお弁当を買うとその1食でかなり塩分摂取になってしまいますね。注意が必要なのは分かりますが、美味しいもの食べたいと考えると塩分はどうしても多くなってしまいます。。。

若年者ほど高血圧による疾患の障害リスクが高いため検診で指摘された場合は医療機関の受診が必要です。ガイドラインでは検診での血圧が140/90mmHg以上あるいは家庭血圧を5日間以上測定した平均値が135/85mmHg以上で医療機関の受診が勧められています。たまに検診で指摘され、自主的に自宅で測定し持ってきてくれる人もいます。その際はすぐ治療や検査に進めます。自宅での血圧がないと、家庭血圧を測定してまた来てもらうことになるので通院回数が増えてしまいます。

血圧高値の場合は減塩、カリウム摂取、適正体重にする、禁煙などを行い改善していく必要があるとされていますが、それがそもそも難しいから血圧高値を指摘されてしまうんですね。減量も言葉でいうのは簡単で時折やる気もでるのですが、続かないんですよね。

家庭血圧による高血圧診断や降圧薬判定には朝・晩の家庭血圧7日間の平均値で評価します。手首での血圧測定は動脈の圧迫が困難でることがあるため上腕で測定します。高齢者では何度説明しても前腕で測定してきてしまう人もいます。家庭血圧が測定できない場合は診察室血圧で診断や治療を行うしかないですが、診察毎に毎回血圧測定は時間の効率が落ちるのでできれば家庭血圧を測ってきてほしいと思ってしまいます。自動血圧測定器があれば良いのですが。。。

高血圧の患者さんをみるときは高血圧の原因と下記の臓器障害の評価が重要です。

脳;頭部MRI検査、認知機能テスト、抑うつ評価

眼;眼底造影検査

心臓;心電図、心臓超音波、BNP/NT-proBNP

腎臓;eGFR、尿定性検査での蛋白尿あるいは微量アルブミン尿(微量アルブミン尿は保険適応なし)

血管;頸動脈超音波、ABIなど

頸動脈超音波では内膜中膜複合体厚(IMT)やプラーク数、プラーク高を確認します。IMTは1.1mm以上で異常とします。

これらの検査を定期的に行い治療経過を見ていきますが、全て行うのは施設設備によって困難であるため可能な範囲で行う必要があります。

収縮期血圧が治療適応がないけど拡張期血圧が治療適応のあるような孤立性拡張期高血圧はエビデンスがないため積極的な降圧治療は推奨されておらず、収縮期血圧が治療必要な範囲に上昇するまで栄養療法などでの経過観察が望まれます。拡張期血圧が下がらない方は結構多いですが、無理に下げようとすると副作用が生じるため非薬物療法で経過をみるほかなさそうです。

生活習慣は高血圧の管理に重要で食事、体重、運動、飲酒、喫煙などが関連が強いとされています。飲酒に関するリスクは様々な意見があります。虚血性脳卒中に関しては少量の飲酒ではリスクが低いとされていますが、出血性脳卒中は飲酒量増加に伴いリスクは直線的に増加します。虚血性脳卒中も飲酒量の増加でリスクが増大するとの意見もあり一定の見解はありません。飲酒は適量であれば良いのかなと思ってましたが、やはり疾患によって違いますね。塩分は日本のガイドラインでは6g/日未満とされていますが、WHOは5g/日未満、米国心臓病学会は3.8g/日未満が目標としています。随時尿での尿Na/K比は食塩摂取量推定に用いるもので、2未満を目標としています。日本の基準でも難しいと思ってましたが、米国はもっと厳しいんですね。。。肥満の方が多く人種さもあり一概に比較はできないと思いますが。

高血圧治療の薬剤は背景の病態に合わせて調整します。基本的には単剤から開始しますが、高リスクの1度高血圧やⅡ度以上の高血圧では2剤併用で開始します。配合剤は保険適応の関係で初回からの導入はできません。私はCa拮抗薬とARBの組み合わせを使うことが多いです。それでもだめならARNIに切り替えるか少量のサイアザイド系利尿薬を開始しています。この組み合わせは患者さんの背景によって調整する必要があります。Ca拮抗薬は夜間頻尿の原因となることがあります。β遮断薬は糖・脂質代謝に悪影響を及ぼすとされており、積極適応をしっかり判断することが大切です。ロサルタン、イルベサルタン、エンレスト®には尿酸降下作用がありますが、サイアザイド系利尿薬やループ利尿薬、β遮断薬は尿酸上昇作用があるため尿酸に関しても気にしながら薬剤調整を行います。ACE阻害薬は副作用で咳をきたすことがありますが、ARBは気道過敏性を減少される可能性があるため喘息でも使いやすいです。喘息患者で高用量のステロイドやβ刺激薬が使用されている場合は低K血症に注意が必要です。ARBなどはK上昇作用があるため、Kの値も注意して経過を見る必要があります。β遮断薬は喘息に対しては慎重に経過を見る必要がありますが、心疾患がある患者のβ遮断薬はCOPD患者では安全で予後改善効果が報告されているため、COPDが背景にあっても心疾患優先でよさそうです。

慢性期脳梗塞は130/80mmHg未満、脳出血慢性期は130/80mmHg未満(できれば120/80mmHg未満)、心不全130/80mmHg未満、慢性腎臓病130/80mmHg、大動脈瘤130/80mmHg、糖尿病合併高血圧130.80mmHg未満とガイドラインに記載があるような疾患はほぼ全て130/80mmHg未満です。基本的には家庭血圧で薬剤調整をすることが多いため、さらに低い家庭血圧125/75mmHg以下でコントロールすることが重要です。ただしこれはあくまで外来に来れるような患者さんに対する数値です。ADLが低下して訪問診療などを行っている場合は収縮期血圧150mmHg以下、終末期であれば収縮期血圧140-160mmHg以内を目安として薬剤の減量や中止を考慮します(背景疾患によってはそのまま治療継続が必要なこともあり個別での判断が大切)。終末期であれば患者さんが今まで内服していた薬なので本人の気持ちを考えて継続することもあります。生命予後改善効果がなくとも最後まで降圧治療を行うことが本人の救いとなることもあると思います。降圧薬でめまいやふらつき、頭重感などを訴える患者さんは比較的多いと感じます、降圧による脳循環不全の症状なのか、薬剤の副作用なのか判断は難しいです。血圧が140mmHgぐらいと降圧ができていないにも関わらずめまいを訴える患者さんもいますが、そういった場合は降圧薬を変更する必要があります。降圧薬を新規処方した場合や変更した場合、私は1か月後に血液検査で腎機能など副作用がないか確認しております。肝酵素が上昇してしまう患者さん、ARBで腎機能悪化する患者さんなどは時折います。ARBでの腎機能悪化は一時的なイニシャルドロップの可能性もあり、より慎重に経過を見るか腎動脈狭窄を精査するかになると思いますが、腎動脈狭窄は一般にクリニックだとなかなか検査が難しいです。

サイアザイド系利尿剤を含む異なるクラスの降圧薬を3剤使用してもコントロール不良の場合治療抵抗性高血圧と言います。服薬アドヒアランスや二次性高血圧、過度な飲酒や喫煙、運動不足、食生活などの生活習慣の問題などがあります。睡眠時無呼吸症候群と高血圧の合併はよく見かけますが、睡眠時無呼吸症候群もCPAP治療がなかなか難しい人がいます。マスクの圧やひもが気になったり、寝ているうちに外してしまうなどです。どうしてもCPAP治療が難しければ歯科に依頼してマウスピース治療の適応を評価してもらうことも選択肢の1つです。喫煙をずっとしてるため血圧が下がらない人も時折みます。二次性高血圧では原発性アルドステロン症を比較的よく見ます。他院で高血圧と低K血症をずっと内服のみで治療されている方を何度か目にしたことがあります。一度は二次性を疑って検査が必須です。

参考文献

高血圧管理・治療ガイドライン2025.日本高血圧学会.